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トップハート物語(5918)立志伝敢闘編
20/08/09
2015年(平成27年)5月中旬。
朝一番で新たに設置した障がい者相談支援事業所の管理者が来た。彼女の性格は厳しい。熱しやすい。やる気満々の根性が生きて行けば、大いに期待が掛かる。
 その彼女が、だ。そのように燃えやすいので人の言葉が耳に入らない時がある。今度、相談支援の受講を、大東市居宅介護支援事業所管理者に決めた。その書類が、だ。内容をよく読まない。自分で勝手に思い込んでいる。
 例えば、受講申請者に自筆で書いて貰い事業所の推薦を受ける、と注意事項に書いてある。その推薦状は2つある。申込書にも書かないと行けない。推薦する事業所が、受講生が書いたパーソナルデータを確認して推薦する記入項目に入れないと行けない。
 だから、その申請書の多くの項目は申込者が書いて事業所の推薦印を貰うのだ。それを、白紙の申込書を私に渡して書いて下さいという。
 その時には、そう思って居たのだが、よく読むと受講生が各項目を自署して下さいと書いてあり、その項目を埋めたら事業者が確認して推薦をして下さいと書いてある。それなのに、もう一つの推薦状だけを受講生に渡して申請書を渡していなくて、私に持って来た。
 何度、勘違いしていると言っても、
 「推薦状はご本人に渡して書いて貰うようにお願いしました。」
と、返事する。
 「様式をよく読むように。」
と、言っても
 「様式2は渡してあります。」
と、一向に確認しようとしない。
 もう諦めて、放って置くことにして問題が出たら分かるだろうと。
 その彼女が、自主的に相談支援の専門員7名を集合させて研修会を開催する企画を立てた。その場所が、新たな民家を借りたところだ。
 そこにシステムキッチンがあり、配食の調理も可能となった。
 その場に移転したいというし、かなり気に入っているようだ。
 そこで、調理をして食事を振舞いながら、懇談をする魂胆を披歴したので、OKを出した。
 「佐藤さんも来て下さい。」
 「悪いけれど、俺はもうそのような集まりには極力出ない。そのうえ、この日の夜7時にはエアコンが届くので待機しないと。」
 そう言って、経費を渡した。
 朝から、今日持参してチェックを受けるファンドの申請書を準備した。時間が無く、追いまくられて、先日作成した補助金の申請書の語句を活用して何とか形を整えている。
 午後1時に遠方の商工会議所に行くので、食事を抜いた。抜いたというか、早く摂ったというか、中途半端な朝食兼昼食だった。
前の本社管理者の人事異動を行った。その結果、能力を発揮できずに退職の道を選んだ。異動してたった、ひと月以内の結論だった。
 元々、独立する思いがあり
「ずっと、ケチって生活していてやっと300万円を溜めたので独立して、佐藤さんが元気なうちに肩を並べたいと思って居ます。 
 そう言って居た、退職を申し出て来た数週間前。
 私に肩を並べるとは、私も安くなったものだ。
 その意気やよし、そう思って居たが、それを言ってからの仕事ぶりは見るも無残だ。40万近くの給与を支払っている者とは思えない働きで、不満を感じていて。
 私は諦めて、ただ、今月中は出勤するが
「6月は有給休暇を利用して一月間出勤しないようにします。辞める人間がうろうろしていたのでは、会社に迷惑を掛けます。」 
 などと、正当化していたが、私の年代ではそんな口先を言ってしがみついているより、早く自分のプランに動いた方がいいと思って居た。
 最後の仕事として、雇用能力開発機構に対して新たなフード関係の支援を目的にプランを提示して打診を指示した。
 「大いに興味を示して、早く見たいという担当者の言葉でした。」
 その言葉を聞いただけで、人間とは感情ではなく勘定の動物だ
 さて、その報告をmailで貰っただけでは消化不良なので面談したいと思って居たら、彼から面談希望があった。
 丁度、この日は遠方の商工会議所でファンドの事前チェックをして貰う予定だったので、彼に運転を依頼して移動中に話をしようと思って居た。
 午後12時に出発して、これからの話を彼からした。私は全く辞める人間のプランなど興味がない。
 有給休暇についても、mailで
 「26日あると思いますので、5月24日から6月全部を有給休暇にして貰いたいです。」
などと言って来たことに対して
 「別にチェックをしていないので、自分が思った通りで結構です。あと、何かある?」
 「いえ、それだけです。先日、ポリテクに打診した新たなプランですが、初めてなので早くカリキュラムを見たいと言って居ます。好印象でした。」
 その言葉で十分だ。
 そんな話で、私は彼が自分から自分の事を話さなければ、自分から話すことは無い。取り留めもないことを話して、商工会議所に着いた。
 その模様を次のようにブログに掲載した。
『午後1時から、○○市の商工会議所にて「創造ファンド」に応募するための申請書を作り上げて、責任者の事前を受けました。
最初から、まるで敵意を持っているかのように矢継ぎ早に詰問され、答えると直ぐに遮って次の質問を投げかけられました。
そして、内容の推敲をして頂き
「私が指導してその通りに書いて、通らなかったからと言われても困るので、あとは自分の判断で修正するなりして下さい。」
1時間すべてを使って、悪いことをしていないのに詰問されたのは人生で初めてでした。
しかし、最後の数秒
「よくまとまっている申請書でしたよ。」
と、言ってくれた時にはその1時間の辛苦の時間が帳消しになりました。
さあ、20日の提出最終日に間に合うように修正する意欲が出て来ました。
そりゃそうだ。採用されれば、税金から投入される補助金は1000万円ですから。』

そして、帰り、また彼の運転する車で戻る。
突然、彼が話し出した。
 「最近、いつもこれまでお世話になった、ここでの5年間の事が思い出されて、家でもずっとそんな気持ちで過ごしています。」
 「過去のことなど思っては新たな事業など出来ない。ダメだそんなことなど思い出したら。」
 と、言うと彼は目を拭った。
 「いいか、人間はいいことは覚えているが辛いことは自然に忘れるらしい。前向きで遣らないとダメだ。忙しくなって時間が取れなくなった時に感傷に浸るのはいいと思うが。」
 そんな話をしながら、彼の運転している横顔を見ると、今度は運転しながら両手で顔を拭って居た。
 その仕草が、事務所に到着するまで続く。
 「何とか佐藤さんに少しでも近づきたいと思って居ますが。僕なんかお金がないから、途中で直ぐに資金が無くなるでしょう。」
 これまでとニュアンスが異なって来た。
 300万円貯蓄して準備したというが、私の時は1000万円使い果たして、無給が3年間続いた話をしたのだが、私の場合は、最初の年で6000万円を超える売り上げを記録して、次の年が1億2000万円を記録したので、その支払いがあったからだ。
 これからの世の中は、介護事業者にとってどんな環境になるのか。私は軸足を全く異なった方向に向けている。
 その一つが、彼にポリテクに打診させた新たなプランだ。それが好印象で、やっと私の遣ろうとしていることの一つが見えたのだと思う。その見えたものが、自分が私に肩を並べると言った言葉が無くなり、近づくになって、途中でダメになるという思いと退職して見知らぬ環境に自分が踏み出す恐怖感があるのだろう。

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