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トップハート物語(5711)立志伝敢闘編
20/04/17
2014年(平成26年)10月中旬。
 落ち着かない。二人を長野県松本市の「松本大学」に送り出した。新たな事業を手掛けるのに、どうしても先駆的なノウハウが必要なのだ。その先駆的な実践を行って居るのが「松本大学」なのだ。
 そこに、初めてのお使いじゃないのだが、二人を送り出した。
 新規事業所責任者とNPO法人常勤理事。
 昨日、台風の中、出発した。その日は、ゆっくりと休んで貰って、朝から移動している写真が送られて来た。
 確か、2時の約束だから刻々と迫って来る時間に緊張しているようだった。私は、その返事を殊更気にしない様に、楽しんでくるように返信していた。
 2時少し前に、連絡がmailであってその後5時を回っても何も来ない。多分、多くの実践事例を見回っているものと考えていた。
 朝は9時過ぎに事務所を出て隣のイオンモール三菱東京UFJ銀行に行って振り込みを少しして、2階の「丸福珈琲」に行った。面接だ。先日、一応はしたのだが、条件面での詰めがなされていなかった。
 要求が決まらない。つまり、給与だ。初任者研修、ガイドヘルパーの資格はある。しかし、遠方で交通費が月2万円程度。シングルで土日祝日休み。1日5時までで7時間勤務。運転免許、バイクの免許なし。30歳前半。
 客商売の経験豊富。パソコンはエクセルやワードではなくキャド。このような経歴でいったいどのような要求をするのか。
 10時から面接をした。恒例のイオンモール「丸福珈琲」店だ。時間通りに来た。
 「今日は休みなの。」
 「はい、一応休みにして貰いました。本当は実習で訪問介護に行くのですが、子供を保育所に預けたら、待ち合わせ場所に間に合わないのでキャンセルにして貰いました。」
 「補講はいつなの。」
 「補講は無いと思います。」
 「無いとはどういうこと。卒業できないじゃないか。」
 「多分、補講が無くても明日15日に卒業できると思います。」
 「どういうこと、カリキュラムの実習が無くても卒業できるって。おかしいだろう。そんないい加減なことして、後が大変だ。実習先はどこだった。」
 「どこか名前を忘れました。」
 「うちじゃないのか。最初からいい加減なごまかしはしない方がいい。これからもそうだが、不正をして何かを得ても後が大変だ。不正することを考えるなら、正しいことをして得た方が余程精神的に楽だ。これから、仕事をするにしても不正を考えることはしない様に。」
 そんな驚いた会話から面談が始まった。
 2時間半の面談だった。
 「条件を考えて来たか。給与だ。幾らにしたい。」
 「調べて来ました。私の条件では、かなり厳しいのが分かりました。そこで、先日仰っていた私が求める給与を口に出した場合、社長が言って居たようにそれに応じた仕事をして貰うとしても、何が出来るのか。何もないのでどうしたらいいのか。逆にどのくらいにして貰えるのか。」
 「自分で調べて来たのなら、話が早い。介護福祉士クラスで20万円程度だろう。そこに短時間労働なら、それに比例して8分の7を掛けて175000円程度だ。しかし、それはあくまでも仕事が出来る者だ。または、施設なら夜勤が4回くらいは要るしその他の手当て込だ。」
 「はい、その通りです。どうしたらいいですか。」
 生活の形態やシングルとしての今後の考えを聞いた。
 「いいか、それに通勤手当も当然会社から支払うのであって国から出る訳ではない。その分や社会保険の負担などもある。」
 「例えば、18万円の手取りだとどのくらい稼がないと行けないですか。」
 「交通費、社会保険負担分、その他含めて直接人件費として25万円は掛かるだろう。その3倍は稼ぐ必要があるのは、自分も経営者として少しは経験があるから分かるだろう。そうすると75万円程度の稼ぎが必要だ。」
 「はい。」
 「でも、そんなこと新人でましてや何の資格も持っていない君には無理な話だ。それでも、うちの会社は将来を見据えて考えている。嘘をつかない、誤魔化さない。素直な人の立場に立った人材なら、将来きっと会社の役に立ってくれると思うので、それなりの教育をしてついてくるように図っている。」
 「はい。」
 「多分、この会社に在籍している人たちはその思いを持っているから今残っているのだと思う。それぞれが、みんなステップアップして個々の力が最高になって能力が完成した段階で、それぞれの事務所で仕事をするようになる。自主自立だ。そのような人間になれるかどうかだ。目先の人件費は余り気にならない。ただ、最初に自分の価値を自覚させるためにそう最初に言った。」
 それからは、彼女のこれまでの辛かったであろう人生の一端を聞いた。東京に5年間住んでいて、子供が出来て男に酷いことを言われて拒否し、ふるさとに傷ついて戻って来た。
 その経験が悪い方向に行くのか、良い方向に行くのか少し様子を見ないと行けない。予定の勤務開始の日を確認した。
 これまでの悪いパターンが重なり合って居る。それを、厳しく解釈するのか彼女だけは別だと解釈するのか。これは、私の問題だ。
 パターンのひとつは、いつからでも出勤できると言って居たが、子供を理由に来週月曜日20日からだと言う。これまで、そのような言い方をした結果は、来なかったり何か他の就職先を探したり、これまで内緒でしていた仕事を処理したり。俄かに信じ難い子供を理由に言うのだ。
 また、金銭的にも自覚しないで要求だけ高くて、あと自信がなくなりやはり無理だと断ってくるケースもある。
 また、モノレール使用を言って来たのだが、これまでは認めていない。しかし、自宅からのコースを確認して経路と定期代を見ると、モノレール使用の方が安くなった。ただ、自宅での乗降駅など確認したが、これまでも定期代を誤魔化すケースが続いているので、今回はどうだろうか。
 制服の準備や電動自転車の準備など要求が多いので、それもまた問題だ。初回の面談ではPCは操作が出来てそのうえキャドが出来ると言って居たが、今日は
 「エクセルやワードは余りできないのですが、キャドでパンフレットを作ったりするのは出来ます。」
 などと言って居たが、果たしてどこまでできるのか。
 何度も重要な点になると、話が逸れてしまって話が出来ない給与について、私は先ほど口に出した手取り18万円を受け入れた。条件は、仕事をする姿勢を失わないと言う事だ。しかし、彼女の事だからもしかしたら他の何かと天秤に載せている可能性もある。
 突然、プロダクション事業に関わっていることなどを言い出した。個人で紹介事業のようなことなどをしているようだ。
 「セクハラは経験がありますか。」
 「水商売をしていたので、十分なくらいあります。触られてはプロじゃないと言われていましたが、触られるくらいは平気です。」
 彼女は、本当に綺麗でモデルか女優のような雰囲気も持っている。
 「運転免許くらいあれば、今日でも直ぐに出掛けるのにお願いできたのに。」
 「運転免許取りたいです。ここで取らせて下さい。」
 と、何度も言って来た。
 この時ばかりは、水商売の口調になっていた。
 2時間半の面接が終わったが、宜しくお願いしますと、言われれば断れない。
 夜になる前に、今日も部屋に戻った。松本大学での結果を待っていたのだが、来たのは
 『今、終わりました。』
 と、いう一言だけ。 
 私も
 『お疲れさまでした。ゆっくりと休んで下さい。』
 と、送っただけ。
 そして、暫くすると学長との一緒の写真とか、今後のことなど十二分に得た内容を報告して来た。さすが、彼女だけのことはある。しっかりして来た。私も戻りながら、嬉しさに浸っていた。本人たちは重責に応えた乾杯で祝って居た。

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