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トップハート物語(5607)立志伝敢闘編
20/02/18
2014年(平成26年)6月末日。
 忙しいことばかり続く。半年が過ぎた。
 厄介なことが続く。被後見人の財産の確認に銀行へ向かう。何とか早く出て余裕を持って仕事をしたいがなかなか難しい。と、いうのもいつも運転して貰っているNPO法人常勤理事が全く仕事の意欲を失っていて、早く来ない。出勤して来ないので、早く出たいと促す。
 「今日は銀行で時間を取られそうなので、少しでも早く出て処理したい。1時には出られるようにお願いします。」
 そう言うのだが、気持ちが全くその方向に行かない。
 イライラするが、結果的に出発は30分遅れの1時半。最初の銀行で月末の、というより年度末の入出金の処理を終えた。既に2時を過ぎている。銀行が開いているのは3時まで。あと1時間。
 自分の業務である、社員の健康診断の取り纏めを車の中でやっている。社員の検診日程を各病院側に伝えて、申込書などを送っている。その中に、ややこしいのが発生して、次の銀行に行けない。
 ややこしいから、相手の病院とのやり取りが長いのだ。銀行の駐車場に停車したまま、電話での話が続く。電話がやっと終わる。
 直ぐに次の銀行に向かう。平成9年頃で打ち込みが終わっている被後見人の通帳が何冊もある。加えて、何行もある。毎月の積立になると、十数年の十二ヶ月。その打ち込みや、積立金の印字など作業が多くなると思うが、かなり待っていてやっと窓口女性が
 「大変な数の打ち込みがあり、500以上だと思います。私も経験がないくらい多くて、どのくらい時間が掛かるか分かりません。」
 時刻は2時10分。
 「それでは、次の銀行に行ってきてまた戻ってきます。」
 「もし、締まっていたらインターホンで呼び出して下さい。早く来ても、お待ち頂くと思います。」
 そう言って、出た。次の銀行は車で10分。
 今度は、被後見人の女性の通帳なのだが、男の私が残高を確認するのでずっと怪しい男と思われているようで、時々チラ見される。
 やっと終わり、申し立て時と大きく違う金額が出て来た。
 戻って、直ぐに最初の銀行に入った。暫く待つと、3時になりシャッターが締まった。まだ、できない。やっと、できた。驚いた。十数年の毎月のデータ打ち込みされた通帳は、表紙が取り除かれて、中身だけまとめていくつかになりホッチキスで止められて出て来た。流石に、長期間放置していただけあって、多額の最終金額が打ち込まれていた。
 このような、動けない、認知症で記憶がなくなったという高齢者や障害者はゴマンといる。それが、手続きができずに終わってしまう。銀行には多額の不明金が残って、10年過ぎれば利得となる。
私が手続きをしている間に、NPO法人常勤理事に印鑑を貰いたい、利用者親族に連絡して行って貰うことにした。その相手先との連絡を頼んだ。利用者は全くの認知症で、同居人が経済的な虐待を繰り返している。身体も同じようにしている。その同居人の妹だ。
 妹はごく正常な素晴らしい人物で、姉が逃げて入院したのでその間の利用者への対応の窓口としてお願いをした。
 その妹に向かわせて、その仕事が終わり次第、市役所に押印した書類を届けるように指示した。
 私は、一旦戻って隣のイオンモールの喫茶店に向かった。マリンちゃんの面接だ。20歳で、既に研修センターの責任者を通じて履歴書の写は頂いている。その際、
 「キャバクラのホステスのような化粧ですが、授業態度は至って真面目で、優等生です。マナーもしっかりしているし、受け答えや敬語も大丈夫です。他の生徒は荒れていても、全くその中には入らずに無視しています。」 
 問題は、初任者研修の資格で正社員希望だ。
 事務所を出る前に、一人での面接では、綺麗な女性にことさら弱い私が、研修センター責任者がいうようにキャバクラのホステスのように化粧バッチリだったら最初から結論は出ているも同然だ。
 近くの居宅介護支援事業所管理者にメールした。
 『俺一人で大丈夫かな』
 『心配です。同席します。モニタリングで回っていますが、間に合うように戻ります。』
 そうは言ったが、間に合わなかった。
 私がその喫茶店に向かっている時に、どうやら前を歩いているのがそのマリンちゃんじゃないかと、思っていると何故か不意に振り向いた。
 その顔は確かにそのマリンちゃんだった。
 直ぐに打ち解ける、彼女のコミュニケーションに既に入ってしまった。
 それでも、気をしっかりと持って席に着いた。
 「社員希望だが、社員とは登録ヘルパーさんを指導する立場にある。技術やマネジメントができる、それは大丈夫。」
 勿論、返事はない。
 「それが無いとなると、人より優れている能力があるか。例えば、事務的に人の数倍も早い事務処理ができるし、経験がある。助成金や新たな事業申請などホームページを見て様式を取り出して作成できる。」
 勿論、ある訳がない。
 「あとは技術的なものが無いが、人の休みの時の土日の業務や夜間、早朝の業務を受ける、休みを少なく人一倍働く。」
 「それは大丈夫です。」
 そうだろう、それが一番の希望への近道か。
 その時、走って喫茶店に飛び込んで来た居宅介護支援事業所管理者。
 あとは、援軍のように話に加わって、業務や会社での勤務内容に移った。
 つまり、もう正社員として採用が決まったも同然に話し始めた。
 若いという魅力をどう生かして、将来に結びつけるかと考えた。
 かなり、長時間の面接となった。1時間程度話をして、納得いく状態で終えようとした。
しかし、大事な条件を聞くのを忘れて、確認した。
 「ところで、給与はどのくらい希望ですか。」
 「できれは、20万円以上欲しいです。」
 少し躊躇した。
 世間の相場を知っているのか。でもいつもの考えが出る。
 その希望に合わせる条件をこちらも出す。
 「その金額だと、社会保険を加味して40万円程度の収入を考えないといけない。そのためには、人より多く働く、朝夜に働く、単価の高い身体介護的な仕事をすることによって達成できると思う。」
 そう言うと、少し紅潮したようだが気を取り直した。
 「ところで、車の運転は?」
 「四月にとったばかりで、まだ、教習車以外乗っていません。」 
 「バイクは?」
 「乗ったことがありません。」
でも、根性がありそうで、少し育てたいという気持ちが芽生えてきた。

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