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トップハート物語(5534)立志伝敢闘編
20/01/10
2014年(平成26年)4月中旬。
 11時半から、依頼人のマンションで財産の管理を引き継ぐことになっていた。
朝一番で、この守口の居宅介護支援事業所管理者が来た。1時間程度話をした。その中で重要な部分は、来週月曜日から勤務する新人に関することだ。
これまで、私が新人を教育する際には負担を感じさせないステップアップ実践教育する。今回は、貴重な新人20代前半の彼女だ。人が欲しいというので、期待できる人材を確保するのに苦労するのだ。
やっと、講習が終わって資格を取得した15日に二度目の面接をして受け入れを決めて契約をした。そのあと、介護と支援の事務所に配属になるが何度か管理者に
「最初で、車も運転できないし仕事を確保するのも大変だろうから。一つの考えとして、通院介助に対して介護タクシーを社員が運転して移動や病院内の中付けを身体介護ができないと言って、特定のヘルパーさんにさせるのはオカシイので、彼女に専門的にさせたらいい。大体、運転など収益に通じないような業務を、高額報酬を得ている社員がやって、身体介護として支払う業務を仕事ができないヘルパーさんにさせるのはおかしいだろう。仕事ができない奴が多くの収入を得るのはおかしいと思わないか。」
と、何度か言っていた。
ところが、今日のこの守口の居宅介護支援事業所管理者の話では
「新人の仕事は、一番困難と言われる方へのシフトをがっちり入れると先日の管理者会議で言っていた。理由は、細かいだけで動きとしては慣れれば応用がないから遣りやすいと言っていた。」
「何を馬鹿なことを言って。多くの社員が、余りの異常な利用者の要求に次々辞めて行く。事業者も次々替わっていく。そう言っている管理者自体も入らないのに、辞めろということじゃないか。女は意地悪だ。男は上下を自覚するが、女は罠に掛けても同僚を追い落とす。」
そう言って、非難した。
「私が言ったということを言わないで下さい。」
「すぐにダメになるから、そうしたら俺のところで受けるようにする。真面目だし、やる気があるから成年後見の仕事をさせようかな。」
その直後、その新人からメールが来た。
報酬の振込指定銀行を聞いてきた。メールで返信して、付け加えた。
『仕事が始まって、何かあったら俺に言ってくるように。』
『ありがとうございます。すぐに相談させて頂きます。』
折角の人材を、詰まらない教育システムで潰したくない。
11時前に出発して、財産管理の依頼があったご本人の自宅マンションに向かった。
この業務は特定非営利活動法人としての事業活動の一環だ。
豪華なマンションで、5000万円を一括して支払ったという。
新規事業所の管理者も立ち会うように指示した。教育が大事だ。実践教育だ。地域包括支援センターから人権関係の責任者が来た。ご本人の入居先の総合医療法人から担当ケアマネジャーが二人、入居フロアから1名。当方から3名の立会があった。
地域包括支援センターの職員は私に対して、強い質問を
「後見人ですか。弁護士さんですか。司法書士さんですか。社会福祉士さんですか。」
私の返事も聞かずに矢継ぎ早に、まるでアホのように声高に言い続ける。
だから、この業界のレベルは上がらない。こんなのが地域のリーダーである地域包括支援センターの、それも人権の責任者だとは。
暫く待って、ご本人は入居先からやっと到着した。もう卒寿を超えているのに、暗記力は凄い。ポストの暗証番号やカードの暗証番号などは覚えているし、通帳の金額や預金先などの覚えもいい。
室内で早速財産の点検を始めた。点検といっても、通帳と権利書などのペーパー類だ。預り証に通帳の情報記録を書き込ませた。権利書などの情報や株の通知などを確認した。問題は、何枚もある配偶者名の通帳だ。
預かる契約は夫名義の財産だ。しかし、どういう訳か夫名義の他に妻名義の通帳の一部が無くなっていると訴えている。
問題は虐待が関わっている。どうやら、夫の妻に対する虐待があり市役所や地域包括支援センターが関わって、虐待を受けたとされる奥さんを隔離したようだ。その訴えているのは、市役所などの行政ではなく妻の兄弟のようだ。
その妻と一緒に夫が入居し不在のあいだに訪問して、妻名義の財産の一部を持って行ったようだ。そのことは、私はあまり関知しないが無視するわけにもいかない。私は、事情は深くは分からないが、どうやら地域包括が複数と市役所などが絡んで妻の兄弟、弁護士などと連携し隔離したようだ。
虐待したとの具体的な話は公式には聞いていないが、ご本人が会うたびに具体的な話をする。段々とひどい虐待が行われていたとの想像が付く。それにしても、実印や通帳の一部を夫に無断で持ち出していいのかとの疑問が湧いてきた。
顧問弁護士には、逆に夫の財産管理の委託を受けたが妻名義の通帳などを預かって行ってもいいのかどうかの、判断がつかなかったので問い合わせの連絡をした。結論は、一時的な保護ということで大丈夫ということだった。
一通りのチェックが終わった。しかし、ご本人はあちらこちらに実印やカード、預金通帳が隠してあるはずだと言うので探したが、見つからない。
「持って行かれた。妻に持って行かれた。」
実印まで持っていくのか。
多額の預金が入っている通帳。私どもでは生活資金の小口現金だったら数十万単位だが、このご本人の単位は数千万単位だ。一つ一つの通帳は全てそんな金額が入金されている。だから、少し持って行かれたといっても桁違いなのだ。
「離婚するなら、してもいい。そのくらいの金などどうでもいい。くれてやる。しかし、何も話もなく終わりだなんて、勝手に連れて行って人権無視だ。」
などと、興奮した状態で攻撃的な顔と口調になるのは、やはり虐待のすざましさがあったのだろう。
1時間半程度で調査が終わり出ることになった。どこかで、当特定非営利活動法人の理事たちと食事でも思って、数人で行こうと思った。それが、以前に約束していたこのあとに、小口現金がある銀行で出金して施設などの支払いを終えようと、取引銀行に行く約束をしていたのを忘れていた。
それにしても、このご本人に付いて来た施設フロア責任者は若い男性だったが、ご本人がトイレだと言っても
「私は素人で経験がない。ヘルパーさんもいないしできない。」
などと、言って逃げようとしていた。
優しいNPO法人常勤理事が軽くアドバイスをして終えた。
態度は悪いし、車椅子の使い方も乱暴だし。一体この奴はどんな立場でこの大手医療法人の施設のフロア長になっているんだ。
そのまま、食事の計画を反故にして取引銀行支店に向かった。私は、前日に取引銀行の各支店に振込手数料を無くすために回った。その支店の一つがこれから向かうところだったので、聞かれても直ぐにわかった。
銀行での引き出しには時間を要した。身体認証を登録しており、カードの暗証番号の次に手をかざして認証を受ける。ところが、片手は麻痺してしまった。もう片手は、血行が悪くて反応しない。
冷たい手を、私や銀行従業員が握って温めたりホッカイロを使って温めたり。何十回となく認証を試みたがダメだった。私は諦めかけていたが、従業員は根気よく頑張った。30分後やっと認証がなった。
これからが、私たちが財産の管理を請け負って行くので処理が大変なので、
「身体認証を解約しましょうか。」
と、銀行員と一緒に説得して、最初は拒否していたがやっと納得して解約した。
そのあと、弁護士事務所に向かった。質問事項がたくさんあったのだ。
そして、ショックを受けながら理解した事項が沢山あった。
遺産の税金対策などとして、働いていない妻名義の通帳に便宜上多額の金銭を入金したら、もう自分のものでなくなる。虐待防止法の手続きが得られたら、死ぬまで親族や夫婦といえども会えない可能性がある。そのいずれもがご本人に該当するのだ。
そう言えば、この銀行に入るときに車から下りた時点でポケットに入れていた、大事な財布を落としてしまった。絶対に落とさないと思っていたのに。あとから来た方に拾って貰った。もし、そのまま気付かなかったらと思ったらぞっとする。
そのあと、施設に入居されている被保佐人にテッシュを届けた。

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