お知らせ


お知らせ

RSS

一覧に戻る

トップハート物語(5447)立志伝敢闘編
19/11/17
2014年(平成26年)1月下旬。
朝一で、新規事業所責任者を呼んだ。言いたいことが幾つかあった。言いたくない、言って感情的に不快になったりするのは嫌だし、自分だって言われたら嫌だ。そう思っていたのだが、言わずに終わるよりいいと思って、いつからか本当に自主自立になればいいと思う。
 連日、小言を言っているような気がする。部屋に入って来て顔を見るなり
 「すいませんね。毎日。俺も、言われるのは嫌だし、言いたくないし。でも、昔に口を酸っぱくして言われた事が今になって自分のためになっていると思う。」
 「いや、自分がダメなんで。普通の会社で働いて来たことがなく、この会社が一番大きくて勉強になります。それに、自分で一番関わりたくないことばかりで。」
 そういう前哨戦で、始まった。
 「まず、玉ちゃんの勤務時間の書き方だが、泊まりの時間がどこに書いてあるのか分からない。勤務時間を書くように言ったのだが無い。」
 彼女は週1回、夜9時から翌朝8時まで障害者の宿泊施設で深夜勤務を行っている。その記録を見ると、そのまま勤務時間として記入してある。つまり、11時間勤務をその勤務時間に合わせて、それぞれ25%増し、50%増しとして金額の計算を行っているので、1回15000円程度となる。
 その計算がおかしいと本人からクレームがついて、内容の確認をした。そうすると、
 「現実を知りたい。大体、11時間連続勤務ということはないはずだ。その間、休憩を入れないと労働基準法上でも違反になる。どうなっているのか。その実績の請求関係の書類を見せなさい。」
 それを確認しても、責任者は各部門の管理者に確認しないとわからないのであとから調べて報告が来た。
 「済みません、11時間中5時間は休憩です。」
 「そうすると、これまで働いていない時間を計算して支払っていたことになる。登録ヘルパーさんだったら、働いた実績を出して貰って計算して支払うが、これでは働いていないのに計算して支払っている。昼間だったら、昼休憩の時間は勤務時間にならない。しかし、夜間だからといって勤務時間に入れて計算したらどうなる。」
 そう言って、諌言したが身に付いたか。
 先月も、同じことを言っていた。私の提案は
 「当社もシフト制なのだ、8時間労働で深夜であろうと平時であろうと同じ考え方だ。施設のように、別枠で深夜手当3000円とか5000円とか出すか、泊まりは宿泊ケアとして別枠で12000円とか15000円とか出すか決めるように言ったはずだ。」
 その言ったはずだ、に対しての返事はなく計算を言い始めた。
つまり、もらえる金額と支払う金額の話だ。
 「その計算はどうでもいいから、どうするかだけ決めなさい。そして、俺が言いたいのは、どんな時でも赤字にするなということだ。」
 その話をしたあとの、勤務実績の書き方の問題だった。勤務した時間を書いて、宿泊と分かるように、そしてトータル時間のメモに宿泊時間を除いた時間を書くように言ったはずなのだが、宿泊の時間実績がどこにもないので、再度注意したのだ。
 次の問題は、新人の男性26歳が入社した。初任者研修を終えたばかりで希望は社員扱いで、月額20万円は欲しいということだった。
「総支給額で20万円を支払うのはできる。社会保険などを加味しても、こちらのいう勤務を飲んでもらえれば、支払う。」
 そう言って、勤務時間帯、勤務する曜日などの選択は会社がする。総勤務時間は200時間を超えないと困ると話をした。勿論、すべての条件を受け入れて決まった。ただ、分からない。どんな人物なのか分からない。
 しかし、こちら、いわゆる使用者側が期待応えるような対応をしないと話にならない。彼の、16日からの勤務時間を貰った。7時間、6時間、0.5時間というのがある。つまり30分勤務のためにこさせただけ。これでは、意欲が湧くだろうか。定時にもならないのに、帰れと言われたらどう思うだろうか。
 それを強く言った。人の心を推し量れない奴は、人を使う権利はない。
 その関係で、もうひとつのことを言った。一生懸命に働いていてくれるシングルマザーが、子供のことで揺れている。女の子で感情が激しく、登校拒否に加えて閉じ篭り、最近はリストカットの日々。そのうえ、自分がインフルエンザに掛かってしまった。強制的に休暇を取得させたのだが、勤務実績が通常社員としての勤務時間に30時間ほど不足したのが上がってきた。
 このまま計算すると、当然、基本月額からマイナスとなる。苦労して真面目に働いた人間が、怠けて出勤してきていないようなやつと表面では同じ扱いになる。
 「そんな実績を見て、ただ俺に回してきたことが少し残念だ。部下のマイナスをどうしたらなくせるか、自分の立場だったら相談して欲しい。何か手立てがないか、と。」
 そう言って、有給休暇を使って時間の不足分を補うように助言した。
 11時に由紀ちゃんが来て、新たに成年後見制度利用申し立てをする予定の利用者の日常生活や保険の引き落としを防ぐための金銭的な扱いを、実際の通帳などを見ながら話し合った。
 そのまま、先日まで被保佐人がお世話になった有料老人ホームへ伺った。保証金の返金を受けるために行ったのだが、施設長がかなりの疲労に見舞われていた。顔を見るだけでわかった。若い女性だが、倒れる寸前だ。
 「一人しかいないの?」
 「ええ。」
 「大丈夫なの、倒れるよ。倒れても、ここは面倒見てくれないでしょう。代わりのものを探すだけ。体調が悪かったら、休みなさい。」
 「休めないんです。勤め人は仕方がないんです。」
「そんなことして、取り返しがつかなくなったらどうするの。」
 「これが、使用人としての立場です。」
 「いい、大きな会社だったら面倒を見るよ。外に、こんな勤務で病気になったとか出たら大変だから。しかし、この業界はこれが当たり前でやめてくれたら儲けものだ。あまり訴えるという行為に慣れていない。泣き寝入りだ。やめるなら早く辞めないと。深夜勤務、超過勤務を幾らやっても体に堪えない人もたくさんいるけれど、体に異変があったら早目に強引に休みなさい。そうしたら施設も考えるから。幾ら施設長という名前だけ貰ってもなんにも益がないでしょう。」
 そこに、変な従業者が来て動かずに聞いている ので、止めて出た。
 彼女は有能な人材となり得るのに、この業界の環境は人を潰している。戦時中とおんなじだ。有能な人材を、殺してしまう。それも、見殺しに。数多の人材がこの世を、無念さを強く抱いて散っていった。
 銀行に立ち寄って、法務局へ登記簿謄本を受ける予定だった。しかし、法務局から電話があり、一昨日出した申請書に不備があるという。一昨日、提出した時点では
 「明日までに修正の連絡がなければ、あす午後には出来ているので取れます。」
 そう言っていたのに、結果的には今日になって修正を言ってきた。
 総会議事録の語句が抜けているのだ。
 「基づいて」の語句だ。
 「代表社印と取締役全員の印鑑を持ってきて貰えるか、総会議事録を直して持って来て欲しい。」
 その場で直すか総会議事録の差し替えができれば、受け付けられると言う。
 一旦事務所に戻って、印鑑持参で行くことにした。再度作成するには、間違いがあってはダメだ。
 戻って、役員4人の印鑑を持って出る。40分後法務局出張所に到着。手続きを担当者の指示に従って終える。
 「もう打ち込んであるので、月曜日27日にはできます。どこかに提出すると言っていたっけ。」
 「はい、今週中にと言われています。」
 「分かりました。それじゃ、あすの午后には受け取れるように処理しておきます。それで、間に合う?」
 勿論、それにしても法務局も変わったものだ。
 以前、他の法務局の出張所でも相談員のかたと話をしていた時に、私が余りに詐欺被害に遭うので
 「ここの人種は、東京とは違う。早くここを出て行った方がいいよ。」
 と、声を掛けてくれた。
 夜はスーパー銭湯に行ってゆったりした。

一覧に戻る


  • ヘルパー講座・セミナー 最新情報
  • ケア事業・サービス 最新情報