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トップハート物語(5361)立志伝敢闘編
19/10/03
朝から準備をした。仕事が一段落して、出発までに1時間あった。新人社員がフルマラソンに出場するのだ。入社1年未満だが、その程度の練習だけしかしていない。聞くと、
「まだ、20キロしか走っていないんです。それ以上は未経験です。」
と、言っていた。
 30歳になったばかりの、当社では当たり前のバツイチのシングルマザー。
そのマラソンを始めたばかりの話をした時に、誰かに似ていると思ったら
 「あの長距離の日本記録を持っている新谷仁美に似ているな。」
 「はい、よく言われます。」
 そう言っていた。
 「それなら大丈夫だ。俺は、駅伝やマラソンが大好きでうちの会社でそんな人がいるなんて嬉しい。もし、マラソンに出るようなことがあったら応援に行くから。」
 そう言っていたが、現実となった。
 抽選で出場することができることになったのだ。3万人の中の一人となった。先日は、壮行会を開催して、みんなで祝った。祝ったではなく、応援して送り出した。しかし、実際に応援に行くのは私だけだ。いや、NPO法人常勤理事の智子さんも一緒だ。
 しかし、応援グッズは何もないので私が作ったのだ。1時間あるので、まずフルネーム一字一字をA3の大きさに拡大印刷した。そのうえで、私の大量の写真の中から彼女の全身の写真を取り出して同じ大きさに拡大印刷。その写真の上に応援の文字を入れて完成するまでに1時間。
 そのような作成をいつもだったらNPO法人常勤理事の智子さんがしてくれるのだが、眠っている。怪我したお尻が痛いと言って、寝込んでいるのだ。
 完成した頃に、彼女が来た。一緒に出た。いつもなら、車なのだが交通規制などがあるので、公共交通機関にて移動。20キロ付近でスタートから2時間後とアタリを付けてその時間に合わせて向かった。乗り換えが2回有り約1時間後に到着。
 まだ、予定の11時までにはたっぷりと時間があるので、壮大な走者の流れに見入っていた。2時間経過した頃から探し出した。それでも、みんな早い。通常のマラソン選手だったら60分程度だが、その2倍を換算していたがどうやら無理だったようだ。
 芸能人、例えばコブクロの背の小さい方とかトミーズの顔が角張っているやつとかが走ってきた。まだ、時計を見ながらずっと待っていた。私の作った横断幕が風にナビいている。直角なので、走ってくる彼女からは見えない。それでも、お互いに探すことをメールで誓っているので、まさか通り過ぎはしないだろうと思っていた。
 沢山の観衆が沿道に押し寄せている。救護班の塊のところに行って
 「済みません。少し空けてくれますか。」
 そう言って、横断幕を少し広げた。
 「どうぞ、前に来て下さい。私どもは、救護班ですから。」
 そう言って、空けてくれたので遅く来た割には何なく一番前に陣取った。
 段々と、時間が近付いてくると思われる頃に、誘導員かが私の前に来た。横断幕が隠れるので、
 「もう少し横によけてくれますか。」
 そう言ったが、よけない。
 全く、中年ババアはどうしようもない意地悪だ。ホンの数十センチ移動するだけでいいのに、何も職務に影響もないのに。そう思いながらも、我慢した。あとから、写真を見ると、全部こいつの頭でだいぶ隠れている写真ばかりだ。
 ずっと、走ってくる人を見ていた。女性で細身で可愛い人を見ていた。たまにそういう人を見掛けるが、外人だったり大学生だったり。
 何気なく聞こえた声
 「佐藤さん!!」
 何度か聞こえて手を振っている女性を見ると彼女だった。慌てて、掛け去ろうとする彼女に
「待って、待って。」
と、叫んで立ち止まって貰った。
 凄い速さでみんな駆け抜けている。まだ、凄い余力がある。彼女のユニフォームの色を聞いておくべきだった。
 申し訳なかった。折角のペースを乱してしまった。それにしても、20キロが最高の走った経験のある距離だとは思えない走りと、疲れを知らない綺麗な顔だった。やっと、わたしの仕事が終わった。あとは、ゴールするだけ。まだ、半分以上あるがゴールには子供や彼氏などが待っているだろうと行かなかった。
 そのまま、繁華街に久しぶりに出た。やはり、凄い人人人だった。外人、特にアジア系の人が目立った。目指すは、東京から進出した「すしざんまい」の店だ。
 色々な繁華街の風景を写真に収めて、やっと目的地に到着。並んでいたが、いやになるほどの長さではなかった。30分もすると順番が来た。結構広い敷地だった。うまい具合にカウンター席が空いた。
 私は一つ一つ注文して握って貰うのがいつものことだ。まず、いつもの中トロと赤味を注文。しかし、
 「大トロを入れた三点セットの方がお得です。」
と、言うのでそれを頼んだ。
それから、ゆっくりとした積もりだが、早かったと同席した智子さんがいう。
いつも、私は大食いではないのでせいぜい多くて10貫に近い程度しか食べないが、20貫食べた。
 何故か、板前が名刺をくれた。満足の満腹で帰路についた。事務所に戻ってきて少し仕事をして、夕食は食べずに寝てしまった。

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