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トップハート物語(5030)立志伝敢闘編
19/04/07
2012年(平成24年)12月中旬。
 この電話の前に何をしていたのか分からないくらい、失望というより無力な自分を感じてしまった。気付かない電話着信の留守番電話に、慌てて連絡した。その録音の声は認知症を妻に持つ夫への訪問看護管理者からだった。
 『この留守番電話を聞いたらすぐに連絡下さい。』
 何事か起こったと恐怖心すら覚えて連絡をした。数日前のケアカンで、対応の手順が決まった。忙しい中1時間も、手順を話し合うのに要した。訪問看護は、
 「退院してすぐに同じ理由で入院などの対応は出来ない。主治医に対する立場上困る。」
 と、言うのが本音で、全く言う事をきかないこのどうしようもない利用者に頭を抱えていた。
 尿が出ない。自己導尿なのだが、指導を受けた当初は厳しい訪問看護師の怖さで何とか実施していた。訪問看護が管理者から新人のかわいい女の子に変わった。人を見ながら我儘を出すので、全く指導を無視してわがままが始まった。
買い食いがひどくなり、3か月で15キロ増えたとデイサービスと訪問介護から報告があった。買い食いがひどいので、何とか食い止めようとしても所詮訪問している時間は1日の数時間。
 デイサービスから毎日の利用を提案されたが、お金が無いので自費は無理だし現実的ではない。急激に太ったので、導尿が厳しくなった。管が入らないし、まず太ったおなかで陰茎が見えなくなった。
導尿が出来なければ、むくみが始まりその状態が進んで危険になった。訪問看護を入れるにしても、緊急で無い限り毎日は無理だし、ましてや導尿に合わせて1日数回は出来ない。ヘルパーさんでは促しは出来てもすることは出来ないし、弱いヘルパーさんにはどなり散らして何も聞かない。
それまで、カテーテルをしていたがリハビリで自己導尿になったので、今さら戻る選択はなかなか医療もしないし出来ない。
 しかし、以前のカテーテル時代は動き辛かったので外出もできなかったが、この自己導尿になってからは勝手に外に出ては買い物を自分でして来る。その買い物も、お菓子や間食だけ。
パン、饅頭、豚まん、カステラそんなものを考えられないほど購入して来るのだ。もうお金が無くなって、家賃も滞納している。勿論、介護保険の自己負担分も同じだ。それなのに、かばんをがっちり抱えて自分が金銭の管理をしているが、無いのだ。もう無いのだ。そのために、私の顔を見ると
 「お金を貸してくれませんか。」
 断っても
 「ポケットマネーを何とか工面してくれませんか。」
 や
 「介護料金を会社で面倒見てくれませんか。」
 完全に普通ではないので、検査を受けて貰って強く成年後見の導入をしたいと結論づけた。その方向に行くのに、医師の診察が再度必要になる。何と、総合病院の脳外科医でもある院長に往診を依頼することになった。
 買い食いをさせないために、買って来たものをすべて捨てることにした。実際は預かるのだが、その方向性を聞いて
 「それだったら、食事を多く作ってくれ。」
 と、叫ぶ。
 いつも数人前を作るのだが、もう異常の極み。
 そんな中、私も自動排泄装置をレンタルする方向で検討を始めたばかりだった。そのデータを各サービス事業所にfaxした矢先に訪問看護からの電話だったのだ。
 「今日も訪問しましたが、腹がパンパンで排尿が昨夜から出来ていなかった。このままでは、厳しい状態が続く。特に心臓疾患が分かったので、突然逝かれる可能性も否定できない。泌尿器科の主治医と相談してカテーテルに戻す事が決まりましたので、今日2時から3時半の間に来て欲しいという事です。」
 そう言われて、すぐに対応したが通院介助の訪問介護責任者が掴まらない。
 続いて、また、訪問看護から電話だ。
 「やはりMRI検査を受けて脳の状態を分かっておいた方がいいと思いますので、予約を取りました。土曜日午後から通院の対応お願いします。」
 それはメールで送って、訪問介護の通院介助の了解を得た。
 そのまま、今日の通院が連絡着かなかったという事を忘れてしまっていた。医師の対応時間が決まっているのに、忘れてしまっていたのを気付いたのが2時半過ぎだった。あと、1時間しか無いのに強硬にお願いして事なきを得た。終了後連絡が来た。無事設置したと。
 そして、翌日である今日の早朝5時に電話がこの夫から入る。出ない。後から留守番電話を聞く。
 『溜まった尿を捨てたいのですが、どうしたらいいのか教えて下さい。』
 と、言うような内容の電話だった。これから、また早朝や深夜の電話が続く。


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