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トップハート物語(4638)立志伝敢闘編
18/09/02
2012年(平成24年)3月中旬。
東京大学本郷キャンパスにて、市民後見人養成講座を終えて受付に並んでいる受講証を取りに行った。あいうえお順に約300名の受講者分が置いてある。朝、受講開始前に入り口で提出したものを帰りにそれぞれが自分の受講証を見つけて持って帰るのだ。
 いつもの並べ方と違っていた。大勢の人を掻き分けて自分の名前の方向に進もうと思った瞬間、
 「佐藤さん。」
と呼ばれて、袖を引かれた。
 その顔を見る。確かに懐かしさが込み上げて来たが、咄嗟の事で某然として居た。じっと顔を見て、あああの人だと一瞬思った時に、
 「ポリテク埼玉の鈴木です。」
 我に返ったーー。一瞬、思い出した人今いる地域の人だったのだが、大変失礼をしてしまった認識を消し去った。
 思い出した記憶に、余りの嬉しさに人目も憚らずに大声を出して
 「先生。」
 と叫んでしまった。
 私がこの世界に入る切っ掛けを作ったポリテク埼玉で介護技術は勿論の事、それ以上に心を学んだ。地域に貢献をする、その理念を持つに至った基礎は今目の前に居る恩師なのだ。
全く変わらない風貌に驚いた。あの当時は30代で、あれから12年経過して居るのだ。
 雨の中を、先生にお願いして懐かしいお話しする時間を頂いた。先生は、我々が卒業してから埼玉県から群馬県に転勤になった。卒業してから、声を掛けて頂き雇用能力開発機構介護サービス科の非常勤講師となって後輩に講義した事もあった。
また、群馬県に行った時にポリテク群馬に面会しに行った。この年になって、年下のまだ30代に見える恩師が存在して居るのは嬉しい事だ。
 歩きながらも、一杯話したい事がありどれを報告して褒めて貰いたいのか整理がつかないでいた。私にとっては、唯一の恩師だが恩師にとっては毎年30人定員で2回、15年以上も指導していた中の一人なのだ。
 特に先生は、プライベートと公的なものをしっかりと分けて、年賀状を出そうとしても住所は公表していなかった。勿論携帯電話番号もだ。連絡は全て学校だった。人付き合いも、校外ではしない。
卒業してからの同窓会にも出て来てくれない。だから、懐かしくてお話が沢山あるのに
 「時間をいただけますか。」
 聞いた時に、
「少しなら。」
と返事を頂いた時には驚いた。
 「卒業した翌年に介護保険が始まったのよね。」
 「はい、それが無かったら私は、年齢は高いし男性だし就職は出来ませんでした。」
あれもこれも話しをしたいと思いながら、最初は矢張りこの市民後見人養成講座を受ける切っ掛けや、内容など
 「ところで、先生は最初から受講してましたか。」
 「受けていたけれど、B日程の方なの。今日はA日程でしょう。A日程とB日程では実習が異なっていて、A日程の実習を受けたいと思って今日来たの。」
 「本当ですか、それが無かったらこんな風に会えませんでした。今は、どこの居るんですか。」
 「前と同じ群馬県よ。介護サービス科が無くなって、他の業務に就いて居る。」
 日本福祉大学を卒業されて居るので、かなりの勉強をされて居る。群馬からわざわざ出て来て、当然自費で受講して居るのだ。
 私の足跡を持参していたiPadでホームページを見せながら報告をした。事業の内容など、加えて出版した書籍の紹介映像などを見せた。
 「ポリテク埼玉で過ごした事も沢山書かせて頂きました。」
 「ほんとう。購入して読ませて頂きます。」
 「先生にはちゃんと送ります。」
 「本当、受け取ったら介護サービス科を無くした幹部に見せて教え子がこんなに頑張っていると自慢します。」
 その他、今日の講義の内容の感じた点などと共に何度も口にされたのは
 「転勤になるかも知れない。全国に有るから、どこにいくか分からない。」
 「そしたら、こっちの方に来て下さい。」
 「行ったら、NPOに入れてくれる。公務員だから、自分で立ち上げる訳のも行かないし。」
 特に、NPOの話しが何度も出て来た。
 「もう私も年だし、下の者には自分のこれからの人生をどう生きるのかを考えるように言っているんです。私には息子が二人居ますが、後継者ではない。息子や親族を引き込む考えは無い。それぞれの分野で自分の方向を決めてそれなりの評価を頂いている。社員は元々ヘルパーを目指して当社の講座を受けに来た。その中から、優しさや意欲を感じられる者を社員として採用して来た。だから、経営や運営、計数管理などの資質に欠ける。俄かや教育では得られない。実践を経験して居なければ無理です。ですから後継は居ないのです。せいぜい、ケアマネージャーとしても社内独立させて、サポートして支えて維持させるのが精一杯なんです。」
 そんな悩みや、政令指定都市から委託を受けたコミュニティービジネスの具体的なプランをお話しさせて貰った。
 今、私は誰にって、目の前の恩師に教えを受けてそれを実践して褒めて貰うのが一番の嬉しさだ。先生に褒めて貰うと益々モチベーションが高まり、遣るぞという気構えが出てくる。
 明日も講義が有る。
 1時間半後、先生は雨のなかに消えて行った。

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