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トップハート物語(3891)立志伝敢闘編
17/12/14
2011年(平成23年)4月中旬。
 認知症を妻に持つ夫から電話だ。毎日掛かって来る。
 「妻の事で相談したい事があるので、来て欲しい。」
 ここら辺は、如何にも自分も認知症のような感じなのだが、
 「私は毎日行っていますよ。いつも同じ話ばかりで、今日は行けません。」
 そう言うと、毎日妻の施設への入所に対する件について話しをしているのだが、同じ事ばかり云わせているので、腹が立って
「何度も言っているでしょう。」
と強い口調で言うと、ちゃんと私が言った老健の幾つかの名前を言って、覚えている筈だということを裏付けた。
それでも、私が幾ら言っても駄目なので、施設の相談員に説明して貰えれば納得するだろうと、幾つか連絡したが、相談に乗る段階ではないと断られる。
 本人は寝たきりの要介護5。家族は全く寄りつかず、関わりを拒否している。キーパーソンが不在なのだ。面談する家族が居ないのでは、申し込みの段階まで進まない。それを再三説明している。
もうどうしようもないので、以前申し込んだデイサービスの宿泊付きに連絡した。相談員に話をしたかったのだが、相談員という何とも頼りない年齢の高そうな男性が出て自信の無い声で対応してくれた。
 「空きを教えて欲しいのですが?」
 「空きは、管理者に聞かないと分かりませんので、後から連絡させます。」
 そう平気で言って、切った。
 何時間もしてから、連絡が管理者からあった。携帯電話だ。数ヶ月前に関わった時には、女性だった筈だが男性だった。
 「空きは、・・・・」
 日程を読み上げているようだった。
 「1月にお願いしている方でUさんですが・・・」
 「以前ご利用された方ですか、データが無いので分からないのですが。」
 「1月に、情報をお渡ししている筈なんですが。」
 「済みません、前の管理者が体調を崩して退職したもので。」
  「分かりました、それでは、情報や提供票を届けに行きますが、いつ行ったらいいですか。」
 「済みません、日程がはっきりしないもので。」
 「29、30日はどうですか。」
 「その日は、都合が悪くて。誰か居ますので、分かるようにして置きます。」
 他の系列の、デイサービスも同じ返事だ。
 いつも、管理者不在で、会いたいと言っても都合が永久に悪く会った事が無い。連絡は、いつも携帯電話だ。つまり、管理者が常駐していないとい事だ。
他業種からの参入で、資本力はあるが順法精神が無い。このような参入者が多く、資本はない能力もない我々はひとたまりもない。しかし、頼るのはここだけになってしまった。
 午後から出掛けた。郵便局に行って利用者からの利用料を引き出し、銀行に預け替えする。毎月の研修会講師支払いをする。毎月コンスタントに100万円は出て行く。昨日依頼のあった新規介護認定依頼の提出代行の為に、大東市役所に向かう。
手続きが終わって、暫く市役所周りののどかな風景を楽しみながら散策。まだ、小さい小川や土手などが残っている。その時に、会社から電話で、母親から冷蔵品が届いて居ると言う。
「何時に戻りますか。」
と、聞かれたが、もう1件離れた市に入居している利用者の更新資料を届けないと行けないので、それが終わってからとメールした。
 4時半頃に一旦戻って、母親からの荷物を貰った。大きな箱に入った笹かまぼこだった。被災していたのに、何も無理してこんな事をしなくてもと思ったが、それが元気の源の一部ならと喜んで受けた。
5時に出て、百貨店に向かった。スーツのバーゲンをしている。1着位買おうと思っていた。イタリア製の高級品が24000円だという。秋にも買い求めた。会場の8階に行くと、同行のNPO法人常勤理事の智子さんが
 「あの人、前にも応対して佐藤さんの足が普通の人より10センチ長いと言った人でしょう。」
 と言われたが、覚えていない。
 近付いて、いくつか選んでいると、1着という思いを忘れてしまった。勧められるままにスーツ2着とジャケット、パンツ2着追加、ポロシャツ2着など買い求めていた。
 サイズ合わせの時に、
 「昨年もおいでになりましたね。」
 「えっ、分かりましたか。」
 「分かりますよ、一度お出でになったお客様は忘れません。」
 「どうして分かりましたか。」
 「その声に聞き覚えがあります。ハスキーな声は忘れません。」
 「それは困った。知らんふりして来たけれど、覚えられたらもう来れない。」
 などと言って、精算した。10万円余りだった。

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