お知らせ


お知らせ

RSS

一覧に戻る

トップハート物語(3807)立志伝敢闘編
17/10/30
2011年(平成23年)3月27日。
 『東日本大震災は国会議員も例外なく襲った。ある議員は家族を失い、ある議員は事務所を流された。支援者の行方を捜し続ける人も多い。悲しみを抱えながら「政治家」の職責を果たそうとする議員たちの「今」を追った。(千葉倫之、斉藤太郎、峯匡孝)
「これがオヤジで、これがお袋。これは家内だな。これが現実だよ…」
 岩手県陸前高田市内の学校給食センターに仮設された災害対策本部の一室。民主党の黄川田(きかわだ)徹衆院議員(57)=岩手3区=は26日、壁に張り出された1千人以上の死亡者や行方不明者のリストを指で追った。
 同市職員から県議を経て平成12年の衆院選で初当選。現在4期目だが、一瞬にして家も事務所も流された。家族さえも失った。
 行方不明者リストに母、洋子さん(75)の名を見つけた数時間後、隣町の遺体安置所で無言の対面をした。
 長男、駿一さん(29)の遺体が見つかったのは震災から1週間後。自ら仮設の窓口に4時間並んで死亡届を出した。妻の敬子さん(51)、父の精也さん(81)はいまも行方は分からない。
 公設第2秘書、菊池章太さんも犠牲になった。「彼、結婚したばかりだったんだ」。悲しみは容赦なく積み重なっていく。
 「みんなそうだ。俺の家族だけの問題じゃない」
 家族を失った被災者としての立場。そして国会議員の立場が交錯する。
 黄川田氏は26日、仮設の災害対策本部で市職員の間を飛び回った。旧知の間柄の職員も多い。職員の3分の1は津波にのみ込まれ、残った職員もほとんどは肉親や友人を失ったという。
 「オレ自身が被災者で現場がある。だから現場で働くんだ!」
 再会のあいさつもそこそこに職員と実務的な打ち合わせが始まった。医療NPO(民間非営利団体)による医師・看護師派遣の申し入れ、仮設のガソリンスタンド設置など案件は数え切れない。
 国会の仕事もおろそかにできない。衆院総務委員会筆頭理事としてNHK予算の審議では、被災者に役立つ報道を求める付帯決議を盛り込んだ。
 それでも国会の赤絨(じゅう)毯(たん)と泥まみれの被災地の間にとてつもない「温度差」を感じる。続々と現地視察に入る国会議員団にも思わずこんな言葉が飛び出した。
 「きれいな防災服を着て『市長に会ってきました』って一体何になるんだ? それも必要なことだから否定はしないさ。だけど政治がやるべきことは国民に安心感を与えることなんだ。3日目にガソリンを必ず届ける。10日目には風呂に入れてやる。そういうメッセージを示すことなんだ!」
 宮城県石巻市が地元の民主党の安住淳国対委員長(49)=宮城5区=は大震災の瞬間、国会運営の仕切り役として国会内の自室を陣取っていた。
 「国会審議は止めるぞ! 菅直人首相には官邸に帰ってもらえ!」。矢継ぎ早に指示を出しながらテレビ画面を見ると「震源地は東北」と報じていた。慌てて携帯電話を鳴らした。
 「つながらねぇ…。うちの両親は生きているんだろうなぁ…」
 両親が自宅近くの小学校に避難しているとの情報が知人から入ったのは震災から5日後。18日夕、震災後初めて地元に帰り避難所で両親と再会した。
 父の重彦さん(84)は教室の奥で布団にくるまり、疲れた表情で寝息を立てていた。
 「母ちゃん。生きていたか…」
 母、慶子さん(77)の背中に声をかけると慶子さんは無言でうなずいた。まだ何人かの親類は行方不明のままだ。
 街は一変していた。支持者宅、お気に入りの理髪店、レストラン…。すべて跡形もなく消えていた。
 「現実とは思えなかった。写真で見た東京大空襲や広島の原爆の写真。それとそのまま同じ風景がそこにあった」
 26、27日と再び宮城県に戻り、被災地のニーズを聞いて回ったが、年度末を控え国会運営はいよいよヤマ場。地元に帰りたくても帰れない。
 「石巻は千年以上、魚を取って生きてきた豊かな地域だ。必ず立ち直る。いや立ち直らせる」
 「とにかく生きていて!」。宮城県出身の自民党の高階(たかがい)恵美子参院議員(47)=比例代表=は震災時、仙台市に残した母、勲子さん(74)ら家族、知人の顔が目に浮かんだ。家族の無事を確認できたのは4日後だった。
 はやる気持ちを抑え、ようやく宮城県に入ったのは26日。看護用器具を詰め込んだバッグを持ち込んで避難所を回ったが、震災から2週間がたち被災者たちは疲れの色が濃く、体調を崩している人も多い。
 被災した郷里を見て、未曽有の国難に何をなすべきかを自問自答した。
 「思い出も財産も絆もある郷里を次の世代に引き継がなくてはいけない。もう一度、郷里を作り上げていくための後方支援をする。それが政治の役目だ」』

一覧に戻る


  • ヘルパー講座・セミナー 最新情報
  • ケア事業・サービス 最新情報