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トップハート物語(3792)立志伝敢闘編
17/10/23
2011年(平成23年)3月24日。
 『本誌記者が取材で訪れた多くの被災地で目にするのが、首輪を付けた犬や猫の姿だ。腹をすかせているのか、人間の姿を見て喜んだのか、捜索隊員の後をいつまでも付いて回る犬もいる。
避難所となっている各地の学校の校庭には、飼い主とともに難を逃れたペットが鉄棒やジャングルジムに何匹も繋がれていた。
これに怒りを覚える被災者も少なくない。宮城県南部の避難所で過ごす被災者がいう。
「喧嘩を始めるとうるさくてかなわない。ただでさえストレスが溜まる生活。飼い主に抗議をしたいところだが、避難所に険悪な空気は起こしたくないし……」
避難所で支援物資を配る役場職員がこぼす。
「満足にエサを食べられず、か細い鳴き声を上げている。配給を分けてあげたいところですが、そうもいかない。犬嫌いの被災者からは“どうにかしろ”といわれて困っています」
その一方で、こんな声も聞かれた。同県東部の避難所に滞在する70代女性が語る。
「壊れた自宅の様子を確認したり、消息不明の家族を捜したりと大人は忙しいが、小さな子供たちは退屈で仕方ない様子。誰の飼い犬かは知りませんが、犬とじゃれ合っている子供たちの笑顔を見ると、私も少しだけホッとします」
 福島原発の放射能漏れによって退避を余儀なくされた避難民のいる福島県・郡山市。
避難してきた30代男性はこんな怒りを告白する。
「避難所のテレビや新聞では、放射性物質対策について“外から帰ったら手をよく洗ってください”“洗濯物は外に干さないでください”なんて伝えている。私たちにとっては手を洗う水さえ貴重。洗濯なんてできるわけもない。バカにされていると感じてしまう」
 「NHKは必要だが民放は要らない」という声をよく聞く震災報道。作家・五感生活研究所の山下柚実氏がメディアの語源からテレビ報道の在り方を問う。
被災現場でどれだけメディア、とりわけテレビ局は現場の方たちの力になれているのでしょうか。被災者たちの今だ多くが、「連絡がとれない」「安否確認ができない」と不安の声を挙げています。
しかしたとえば、ある民放番組では、アナウンサーが被災現場に入って、亡くなった家族のことを被災者から聞き出しては泣かせる、といった現場レポートをしていました。今回の激甚災害の過酷さを、視聴者はすでに直感的に理解しています。これ以上、余分な強調や増幅はいりません。被災者に水をむけて泣かせようというのは、テレビ局自身のための演出行為に見えてしまいます。
その一方で、やはり民放ですが、被災者にボードを渡してメッセージを書いてもらい、それを映しながらマイクで言いたいことを話してもらう、という番組もありました。
いわば、テレビが、被災者同士をつなぐ「広域伝言板」に徹しています。「メディア」の語源は「ミディアム」=「間に入る」「媒介」という意味です。まさしく「媒介」役を果たしていました。電話などの通信網が寸断されている今こそ、原点に立ち返るなら、自ずとメディアの果たすべき役割が見えてくる気がします。
 東北関東大震災によって8割もの世帯が水没した岩手県の陸前高田市。そこにある小学校の体育館には約200人の被災者が避難している。
 同市では市役所も被災し、多くの市役所職員の消息がわからないままだ。そのため、消防団員たちが中心になって支援物資などの配給やほかの物資を希望する人たちへの調達を行っている。この避難所ではおにぎりが朝昼晩ひとり1個にみそ汁、水や毛布が配給されるが、とても充分な量ではない。13日の午後、消防団員が、体育館にいる全員に向かって話を始めた。
「皆さん、聞いてください。今日は遠野まで行って、ガソリンや食料は買えるだけ買ってきました。ただし、消防団にはもう出せるお金がありません。こんなときにこんな話をするのはなんですが、欲しい物がある人は、お金を用意してください。ガソリンも食料も現金でしか売ってくれません。明日も車を出しますが、私たちは買いに行くことはできても、お金を用意することができません」
 体育館にはため息がもれた。
「慌てて飛び出したからね、なんにも持ってないよ」と落胆する60代の男性。銀行はカードや通帳がなくても預金をおろせるようにしているというが、「貯金してる郵便局も流された。だから、なんも見通しないです」
 避難所ではこれが現実だった。』

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