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トップハート物語(3777)立志伝敢闘編
17/10/14
2011年(平成23年)3月21日。
『がれきの下におばあちゃんがいる――。
 死者・行方不明者が2万人を超えた東日本巨大地震で20日、宮城県石巻市のがれきの中から2人の生存者が見つかった。倒壊した家屋のわずかな隙間で、217時間にわたって厳しい寒さや飢えをしのいだ80歳の祖母と16歳の孫だった。地震発生から9日ぶり。「必ず生きていると信じていた」。救出を聞いた家族は目を潤ませた。
 2人が見つかったのは、石巻湾から旧北上川を約1キロ上った川沿いの地区。同市門脇町、阿部寿美(すみ)さん(80)と孫の高校1年任(じん)さん(16)がつぶれた家屋の中に閉じ込められていた。震災前は住宅街だったこの地区は現在、家屋の屋根や柱、倒れた電柱などが1~2メートルの高さまで重なり合うがれきの山が広がり、電気も寸断されている。
 宮城県警石巻署員が、倒壊した家屋の屋根の上から助けを求めていた少年に気づいたのは午後4時頃。署員が、がれきをかきわけて近づいていくと、この日、津波でつぶされた家屋からようやく脱出した任さんがいた。ジャージーの上下にバスタオルを重ねて体に巻きつけ、寒さに震え、衰弱していた。
 「うちにおばあちゃんがいます。助けて下さい」。任さんの訴えを聞いた署員が家屋内を捜すと、倒れたクローゼットの上に敷いた布団の中の寿美さんを見つけた。
 2人はヘリでつり上げられ、同市の石巻赤十字病院に搬送された。寿美さんは、はだしでぐったりした様子。任さんは左足が少しはれており、軽い凍傷などの疑いがあるが、2人とも意識ははっきりしており、寿美さんは病院職員が「よかったね」と声をかけると、「んだからね(そうだね)」と答えていたという。
 同病院の医師らによると、阿部さん方は6人家族。地震当時、自宅にいたのは寿美さんと任さんの2人だけだった。2階の台所で食事中に津波が押し寄せ、2階まで浸水。食器棚や冷蔵庫が倒れ、2人は台所にできた、わずかな隙間に逃げ込んだ。そばにあった冷蔵庫に残っていたヨーグルトやコーラ、水などで飢えをしのいでいたという。3日目に任さんが隣の部屋にあったぬれていない毛布を取りに行き、体をくるんで温めた。
 気象庁によると、地震発生後の石巻市の気温は、計器の損傷などで19日までデータがなく不明だが、同じ宮城県の仙台市では、最低気温が氷点下となった日が7日、降雪も4日あった。
「生きていると信じていた」 寿美さんの息子で、任さんの父親の明さん(57)は同病院で記者会見し、「助けていただいて、ありがとうございます。必ず生きていると信じていた。あきらめないというのは大事なことですね」と目を潤ませた。一方、明さんは「私たちだけが、こんな幸せを味わうのは申し訳ない。何ができるか、家族で話し合いたい」とも語った。
 明さんによると、地震翌日の3月12日午前9時頃、首都圏にいた長男(21)が寿美さんの携帯電話にかけたところ、電話口に任さんが出た。「うちは全滅したけど、台所だけは無事で、今、そこにいる」。電話はわずか50秒で切れたという。
 家族で自宅近くを捜したり、避難所を回ったりしたが、2人を見つけられず、警察に捜索願を出していた。病院で対面した2人は、明さんが「頑張ったね」と声をかけると黙ってうなずいていたという。
 幼なじみで阿部さん宅によく遊びに行っていたという同級生の阿部滉希さん(16)は、救出の報を聞き、「本当によく頑張った。任が帰ってきたら、思いっきり褒めてやりたい」と喜んでいた。
 東日本大震災で危機的状況に陥っている東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)では、東京消防庁や自衛隊が21日、3、4号機の使用済み核燃料プールへの放水を続け、東電は2号機を中心に電源復旧を急いだ。
 現場周辺は、雨が降って大気中を浮遊していた放射性物質が落ち、放射線量が増える恐れがある。
 東京消防庁などは21日午前4時ごろまで、3号機プールに6時間半放水。自衛隊は同6時40分ごろから4号機プールへの放水を約2時間続けた。これまでの放水で原子炉の横にあるプールの水量が増え、水温も低下。損傷した燃料棒からの放射線も減衰傾向にあると期待される。
 プールの水位を維持できれば、今後は1~3号機の外部電源を復旧させ、原子炉を本来の冷却装置で安定して冷やせるかが焦点となる。現在は消防ポンプを使い、海水を消火用配管を通じて炉心の圧力容器に注入し続けている。
 東電は原子炉圧力容器を覆う格納容器の一部が損傷した2号機の電源復旧を急ぎ、東北電力送電線からの外部電源を中央制御室に通す作業を行った。1号機や3~6号機もケーブル工事や配電盤から内部に電気を通すための試験などが断続的に行われている。』

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