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トップハート物語(3672)立志伝敢闘編
17/08/14
2011年(平成23年)2月初旬。
 早朝から、また電話だ。認知症を妻に持つ夫が、
 「妻のデイサービスを変更して欲しい。本人が行きたくないと言っている。」
 と言う電話だ。
 傍についている介護管理者に確認した。
 「いつも、新たな処に替わると最初はそういう。何とか、慣れるまで頑張ってみようと思っているのですが、お父さんが煽るから無理です。今日だけは何とか行って貰うので、今後の事を考えないと。」
 「昼間自宅に居たのでは、寝たきりの旦那さんしかいないのに、徘徊でもされたら終わりだ。」
 「ずっと見守りする事も、ヘルパー確保も大変で無理です。私も、出来るだけ入っていますが、他にも沢山新規が入って来たので請求実績の事務処理が出来ずに困っています。」
 「とにかく、今日デイサービスに行って貰って、今後はどうしようか訪問して話し合います。」
 そう言って、夫に代わって貰った。
 「これから、奥さんが家に居る事に成ったら面倒を見る事は出来ませんよ。怒鳴ったり、大声を出したりして奥さんを刺激して、折角一緒に暮らせるようにしたのに、前の賃貸住宅に行く事に成っても良いんですか。」 
 「仕方がない。」
 「お金が掛かるから、戻って来たんですよ。」
 「定期を解約して払う他ない。」
 「もうそんなに残っていませんよ。家賃で9万、食事代で4万、デイサービスに毎日行って1割負担で3万円、その合間にヘルパーさんが自費で見守りして月25万円も掛かりますよ。また、元に戻ってどうするんですか。どうしてもっと優しく出来ないのですか。とにかく、今日これから訪問します。」
 そう言って、銀行に立ち寄って訪問した。
 訪問すると、どこか電気屋さんの車が停まっていた。中に入ると、何かの注文をしているところだった。その話には加わらない。日常生活で契約や注文をしているのは自己判断だから。その業者が帰ってから、話しを聞いた。
何と、寝たままテレビを見られるように、新品のテレビとそれを壁に設置する棚、BSアンテナなど総額14万円だという。お金がないと言いながら、昨年も新品の薄型テレビを2台購入している。訳が分からない。
 「どうして、そんなに簡単に注文できるんですか。お金がないというのでリハビリ途中で病院から戻って来たんですよ。新品の去年買ったテレビ2台はどうするんですか。」
 「ベットに横になっていたら、何もすること無いので。」
 「ベットから離れて生活するようにと指示が出ているでしょう。支払いはどうするんですか。」
 「息子に電話して、会社から借り入れをして貰おうかと思う。」
 「何を言っているんですか、息子さんだって一生懸命働いてお子さんが一番お金の掛かる時期なんですよ。そんな事も考えられないのですか。」
 「月賦で支払おうと思っています。」
 「自分で判断して決めたんだから、私は関係が無いから良いですけど。」
 投げやりになってしまう。
 認知症の奥さんの話しを続けた。
 「ヘルパーさんの話しだと、食事中とかに旦那さんが前の様に大声で怒鳴ったりするので、おびえて以前のように奥さんも、呻き声を出したり震えたりして、おびえていると言っていました。また、不穏な言動が出て来たらどうするんですか。」
 「自分では、そんな怒鳴ったりした覚えがないのですが。」
 暫く、その件について話をしたが、自覚がなければ、ひどく成る前にある程度の方向に動く他ない。
 「これ以上、一緒に居る事は無理があると思います。ずっと嫌がっていましたが特別養護老人ホームを申し込みますか。有料老人ホームや、今まで入っていた賃貸住宅は金銭的に無理です。申し込んでも、直ぐにとは行きませんが、如何でしょうか。」
 情けないような顔をして私の目を見つめていた。いくつか質問があった。
 「それが一番いいなら、そうしてくれますか。」
 何となく、悲しかった。
 あれほど、奥さんと離れるのを拒否して、入院しても毎日往復2時間も掛けて押し掛けて1日中付き、ショートに行っても毎日タクシーで通って夜遅くまでつく。どこに行っても、一緒に居たいと付きまとい、周りの多くの病院でも拒否されるようになった。
そこまで、関わっていた周りの者が匙を投げるまで自分の意思を押し通していた。それを守ろうと、心情的にも応援して、口では制度を出し、実質は夫の思うようにして来た私だ。回り道をして、結果的には最初からしていたら無駄な時間やお金を使わずに済んだ結論を付けてしまった。

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