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トップハート物語(3585)立志伝敢闘編
17/06/29
2010年(平成22年)12月中旬。
この間、入院中の夫から電話が入る。いつものように、
「医師から外出許可を貰ったので、出してくれ。」
という。
 「医師がケアマネジャーから連絡を貰いたいと言っているので、電話してくれませんか。」
 「必要があれば、いつも医師から電話が来ます。そこに看護師さんが居たら確認しますので、代わって下さい。」
 「傍にいません。」
 「何故出たいのですか。」
 「妻の施設に入るお金を、定期預金を解約して・・・・」
 「それは、昨日行ったでしょう。」
 「他にもあるので。」 
 「とにかく、今日はみんな忙しくて対応出来ません。みんな沢山の仕事を持っているので、無理ですよ。」
 「今日これからは無理ですか。」
 「いいですか、みんな多くの人に援助をしているので、毎日Uさんにだけに対応していれないのです。」
 「それなら、私の友達に頼んでも良いし。自分で、介護宅して一般のタクシーを頼んで行っても良いし。」
 「何を言っているんですか。昨日だって、立つ事も出来なかったでしょう。」
 そんな取り留めも無い話を、連日、繰り返している。
 その夫については、夕方連絡があり、リハビリテーション病院に21日転院が決まった。遠くの山奥なので、もうこの様な気安く訪問する事は出来なくなる。何となく、私は気持ちが安らかになる。勿論、利用者は我儘がきかなくなる分、落ち込むだろう。
 妻の一時帰宅をヘルパーステイションに任せて、戻った。その時に、ある業者から連絡が入った。そうだ、今日は午前中に会う約束していたのだ。約束時間には既に間に合わない。平身低頭して、来週火曜日に替えて貰った。
次の訪問に向かって移動したが、夫婦に預かった貴重品が気になり事務所に戻って、保管してから出掛ける事にした。戻って暫くすると、二人の社員が来た。期待の二人で、キラキラ目の玉緒ちゃんと次世代のリーダーと自他とも認めるサービス提供責任者だ。何か用かと、応接の席に座る。
 「実は、今回のクリスマス会の準備や今度のリハーサルがありますが、夜間に及ぶ事があるので、残業を付けていいでしょうか。お局様筆頭サービス提供責任者などから聞かれるかも知れないし。」
 一瞬、答えに窮した。が、しかし、直ぐに
 「お好きにどうぞ。」
 「聞かれたら、お好きにどうぞと答えるんですか。」
 「俺の感覚では、考えられないが、この地域の人間が考える事は何事も金だけだからな。仕方が無いだろう。」
 「それから、クリスマス会は日曜日にしますので、日曜出勤を付けていいですか。」
 「どうぞ、お好きなように。」
 そう答えて、愕然となった気持ちを表に出ないようにして、ある決心をした。
 「それだけですか、話は。」
 そう言って席を立った。
 会社の行事、例えば運動会などをする、懇親会をするなどは全て会社で拘束されるから、残業代が発生するという事か。訳が分からない。暫く冷静さを失った。
 税理士事務所に、3分の1四半期の精算表内容について打ち合わせがあり、向かう車中でNPO法人常勤理事智子さんに聞いた。
 「この大阪人の考えは、金かね金なのはよく知っている。しかし、長い間、そうではないという事を、身をもって示す積りだったのだが、無駄な10年間だったようだ。無理なんだな。それだったらそれで俺も楽だ。全て金銭に置き替えて合理的な感覚でやって行く。来年の10周年記念に、収益を社員に分配する積りで1500万円程度の心積もりでいた。でも、あの言葉を聞いて止めた。会社の留保とする事に決めた。今後、みんなに対する配慮は止めた。これまで、目先の数万円の為に何十倍もの利益を失う事を何度も言った筈だ。」
 「誰かに言わされているんじゃないの。」
 「誰に、そんな事は無い。自分達の勝手な言い草だ。」
 「お局様筆頭サービス提供責任者とか。」
 「お局様筆頭サービス提供責任者は管理者だから、残業代など関係ない。とにかく、割り切って対応するなら、俺だってこんな楽な事は無い。」
 そのような、NPO法人常勤理事智子さんが彼女らを擁護するような理由を並べたが、もう分配の話は終わりだ。段々と、違う話になる。
 「そんなに生活が苦しいのでしょうか。」
 「そうじゃないの、でも、それだったら仕事をして稼がないと続かない。」

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