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トップハート物語(3568)立志伝敢闘編
17/06/20
2010年(平成22年)12月上旬。
 もう一つの問題がある。奥さんの対応が、入所が嫌だという夫婦の意向でショートステイを利用しているのだが、家に戻りたいという強い要望もあり、週2日自宅に戻っている。その時は、昼間はデイサービス夜間は訪問介護事業所による対応で、24時間見守りが必要なのだ。
先日、ショートステイで転倒して、大けがをしたのだが、在宅では見守りが無ければもっと大変になると思う。それでも、ショートステイだけで点数はオーバーしてしまう。夜間対応は1回15000円の自費だ。そういう諸々の経費で1カ月30万近く掛かる。
それを回避するために、夫は
「自分の妹に夜間だけでも頼む。」
と言っていた。
 それから何度も訪問し、電話を掛けたのか確認すると
 「まだ掛けていない。」
 から始まって、次は
 「電話を掛けても出ない。」
 次は、
 「電話番号が分からない。」
 になってしまった。
 そして、
「自分が戻って妻の面倒をみる。」
と言う。
主治医が
「無理だ。」
と言っても、聞かないし自分で言わないのは、いつもの手だ。憎々しい我儘を言っていたのに、突然哀れな老人に変身するのは、いつも自分の都合が悪くなり人に頼む時だ。
 「帰って妻の面倒を私が見るので、ケアマネジャーから先生に頼んでくれませんか。」
 「それは、自分の思いとして自分で言わないと、私ども他人が言う事ではないので。勿論、一緒に言う事は出来ますよ。」
 「リハビリの病院に行くと言われている。遠くでは困ると言ってくれませんか。」
 あれほど、私に
「自宅に帰りたいからと言ってくれ。」
と言って来ながら、この調子だ。
 話をしていてもイライラする事が多いが、まだ他のメンバーが居るので我慢できる。奈良県に行って、子息から貰って来た書類に不備があると何度も看護師が担当者と話をしてから、言って来た。
子息は、サインなどしたくないのだが、私が困るだろうからと言って名前は記入した。例えば、緊急連絡先の名前は書いてあるが、連絡先とか住所など書きたくないと書かなかった。それでは不備だと言われて、私の名前を書いた。そして、保証人人の項目に関しても、結果的には私の氏名を書く事になった。介護管理者が
 「これほどまでしてくれるケアマネジャーはいませんよ。お金が払えない時には、ケアマネジャーが負担する事になる。感謝しないと。」
 そう言われて、やっと気付いたのか。
じっと私の顔を長い間見つめていた。何とも言えない顔だった。慈しむような、信頼を一心に示しているような。私はじっと見つめ返したが、その顔を見て自分から目を逸らした。
 「妻を宜しくお願いします。頼むのは佐藤さんしかいません。」
 そう言われると、
 「分かりました。」
 と、返事する他ない。
 困った、明日戻ってくるともう行くところが無い妻。夫の言葉を信じていたのが、失敗だった。
 長時間話し合った。もう、これ以上用件は無い。長い時間を掛けて、私が持って来た、通帳7通などジッと中身まで確認して、
「ここに何百万円の定期がある筈だ、ここにも記入していないが、何百万円の定期が・・・」
 などと、訪問介護管理者を相手に話をしていた。
 そういえば、息子息子と何度も言っていたのだが、最近こちらが話を振っても、興味の無い態度を取る。子息に、夫のへの感情を聞いたが、母親に対しては全くそのような事は無く、
 「お母さんは、認知症が抑えられてほとんど以前と変わらない状態です。一度会いに行って下さい。金曜と土曜の夜は自宅に戻っています。」
 「親父にはあれですが、母親には会いに行こうと思っています。」
 そう言われて、何となく気持ちが晴れた。
高額な高速道路代を支払って何度も通った甲斐があった。
 一際寒い日だった。部屋に戻って、食事の準備をしているとお局様筆頭サービス提供責任者から連絡があった。
 「いま、障害者の方の就職面談をしています。給与の支給日はいつになりますか。」
 もう夜の8時に成ろうとしているこんなに寒い夜でも、まだ仕事をしているんだと感謝した。

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