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トップハート物語(3523)立志伝敢闘編
17/05/27
2010年(平成22年)11月中旬。
朝から、新人ケアマネジャー宏美さんが慌てふためく必要も無いのだが、行ったり来たり。何度も出たり入ったりするので、
「煩い。」
と冗談で言った。
嘘つきせんと君が、ケアしている障害のある私の彼女から聞いて来たメモを持って来た。12月のクリスマス会の、プレゼントして欲しいものを聞いて来たのだ。普通の生活をしていれば、何でもないものなのだが、彼女の希望するものをいつも目にして、悲しくなって来る。同情心ではない、ただ余りに切なくて。そのメモを貰いながら、
 「どうだ、最近の精神的なものは。」
 「昨日は大変でした。かなり落ち込んで、階段を背負って下りる時に何度も、『殺して下さい』とか『死にたい』とか、ずっと言っていました。鬱状態になっているようで。診察でも、『在宅は無理だから入院するように』と指導を受けています。」
 「本当か・・・・」
 「それに、『タバコは止められなくて、何とかしたいので電子タバコをまた欲しいと佐藤さんに言って下さい』と言っておられました。しかし、前の事があるし、無理だと返事しました。」
 「それでいいだろう。折角、欲しいというので希望を聞き当社のネット販売で取り寄せて原価で渡そうとしたのに、散々使ってから『壊れている』と言い出して料金を支払わなかった。返してくれと、料金は貰わず引き取ったが、あれは金銭の負担をしたくなかったからだと分かって居た。他の何人かに販売したが、何の問題も無かった。」
 それでも、少し心配になった。
 そのあと、10時過ぎに、昨日身内に障害を持った者が居るとの事で、私の身内と同じ立場で話し合った彼女が来た。深刻な緊張した顔で、
 「相談があります。」
 「どうした、何か問題があったか。」
 「いや、クリスマス会の事ですが、私には一緒に住んでいる彼が居ます。家族だったらという事ですが、その彼も、参加させていいでしょうか。」
 「それは、駄目だな。」
 「どうしてですか、親も子も一緒に生活しているんです。」
 「それでも、家族ではないし駄目だ。他の者もそう言ってきたら、どうする。誰でも彼でもという事になるだろう。ここは理解して貰って、我慢してくれ。」 
 「それは可哀そうです。」
 「何で可哀そうなの。」
 「親も、子供もみんな生活している者が参加するのに、彼だけ参加出来ないなんて。」
 「それは会社とは関係が無いだろう。色々言う者も居るから、我慢しなさい。」
 「将来に結婚は無いですが、みんな仲良く生活しています。」
 「それは、分かるが、色々と言われるぞ。あいつだけ我儘だと。それに我慢出来ないだろう。とにかく、今回は駄目だ。」
 じっと、私の顔を睨みつけている。
 彼女は、直情的だ。思ったら一途だ。私の言葉など耳に入らない。実は、先日、彼女の所属部署の管理者であるお局様筆頭サービス提供責任者から、今回のクリスマス会の参加者を巡って、彼女の事についてクレームがあった。
 「彼女は、親や子供だけでなく、兄弟も呼ぶと言っている。他の者と不公平になる。一体どこまでが家族とするんですか。みんなも、彼女の身勝手な考えに不満がある。」
 そう言って来ている。
 以前も、当社に入ってから夫婦間がぎくしゃくしてしまい離婚を回避するために辞めると言って一度退職した事があって、一月後に離婚して戻って来た。その時に面と向かって、お局様筆頭サービス提供責任者に身勝手な言動をなじられて、みんなの前で大泣きしたという。
その事があり、私は、お局様筆頭サービス提供責任者を窘めた。そのくらいいいではないかと言って。でも、それを彼女に言うと、また直情的に
 「それじゃ、家族全員出ません。」
 などと言いかねない。だから、穏便にしようとしているのに親の心子知らずで、
 「済まんな。」
 という私の言葉に、睨みつけながら
 「いいえ。」
 と返事を数回するだけで、面談室のドアを大きな音を立てて締めて、私に目を合わせず後ろ向きに帰って行った。
これが、社長という私の立場で無かったら、もっと凄い態度だったろう。彼女の一面を初めて見た。

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