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トップハート物語(3518)立志伝敢闘編
17/05/25
2010年(平成22年)11月中旬。
第三者を同席させた。先月からの請求書が溜まっているのだ。家賃や住宅改修費、電気店などの毎月分割して支払っているものと、認知症の妻の緊急対応のショートステイやデイサービス利用料。
そして、これも緊急で妻のショートが決まるまでの宿泊対応を含んで24時間対応した、訪問介護の経費。そのうえ、訪問介護経費は以前の分も分割して居るので、それも全部清算して貰いたいと思っていた。
 病院からの報告では、入院している
「夫は体調を崩して居て、全く食事を受け付けない。」
という。
「水も、受け付けない。」
という。
目も閉じたまま、衰弱が激しいというのだ。
「リハビリ病院なので、このままリハビリが出来なければ強制退院となる。」
と事前に宣告されている。
 病室には居るが、口を空けて眠っているようだ。しかし、介護管理者が声を掛けると、返事があった。体調を聞き、か細い声なので迷ったが、チャンスを失うかもしれないので、思い切って、金銭の話をした。
大事なところになると、口をつぐむ。出来ない事、例えば
「自分が処理するので郵便局に連れて行ってくれ。」
とか、
「定期預金を解約して対応してくれ。」
という。
定期預金を解約するには、解約用紙への署名や本人確認などの代行できない手続きがある。多くの通帳に分散されているが普通預金で十分対応できるのだ。
 そんな話の中でも、
「息子や娘に連絡してくれ。」
という。
自分で、電話を掛けられるし話す事も出来ても、人にさせようとする自分勝手な言動は相変わらずだ。何度も息子さんに会って、現状を話させて貰った。しかし、関わりたくないと頑なな態度は、利用者がそのような対応を、子供たちにして来た結果だ。
冷たいとか、薄情だとかそのような子どもたちを非難する。
 「借り入れや、支払う必要のあるものを清算しないと、息子さんに請求が行きますので、清算するようにしましょう。」
 と、声を掛ける。
 「定期預金を解約してくれ。」
 「定期預金を解約しなくても、普通預金で十分賄えます。その手続きをしていいですか。」
 「いや、定期預金を解約して清算して下さい。」
 「定期預金を解約するには、本人確認が必要になるし、署名押印が必要です。」
 「車で連れて行ってくれ。署名は出来る。」
 「全く動けないのに、外に出るのは無理です。もし、手続きが出来なければ、このまま奥さんをショートに入れることは無理になるし、今でも、息子さんに請求が行っています。」
 返事をせずに、目も開かず、ただ唇がほほ笑んでいるように見えた。
 「笑っているよ。」
 と、他の者に小声で言った。
何度言っても来ない息子さんに、嫌がらせでもあるまいが、この期に及んでも、自己中心で困ってしまった。私の思いだけで、臨時に金銭管理をしているが、支払いが発生するとどうしても振り込みや現金での支払いが必要となって来て、手続きに暗証番号とか、どこから下ろすのかなど指示や聞き取りが必要となる。
その話が、段々と厳しくなって来た。重要な部分で、口をつぐんでしまう。
 それでも、何とか了解を貰う。これまで分割していた負債を全額清算して、身軽になり、今後は月々に発生するものだけを支払う事を了解して貰った。
それからが大変だ。銀行の暗証番号を聞こうと思っても、思い出せない。比較的残金の低い銀行は思い出しているのだが、一番必要な銀行の暗証番号を
 「忘れた。」
何度聞いても、
 「ゆっくり考えてみる。」
 などと答える。
 この月の清算をしたら、正式に社会福祉協議会への権利擁護を依頼して、金銭管理をお願いする件も、了解を得た。
 こんな利用者本人の協力も得られない金銭管理は御免だ。
 事務所に戻って、明日から登録ヘルパーさんに渡す給与明細の作成を急いだ。
「月曜日から3日間に亘って実施される技術研修時に渡します。」
という。社員がスムーズに管理できるように、補完するのが私の仕事だ。
 2時間ほどで終わり、いよいよ出発してホテルに入る。


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