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トップハート物語(3460)立志伝敢闘編
17/04/26
2010年(平成22年)10月中旬。
 「先日、メールで職業訓練の講師をお願いしていたけれど、返事が無かったね。」
 「えっ、私、受けてませんよ。」
 「そんなことない。着信できなかったとのメールが戻って無いから、行っている筈だ。」
 「いえ、受けていません。私は、佐藤さんのメールはいつも気をつけているし、直ぐに返信します。」
 「間違いないよ。調べて見て。とにかく、ケアマネジャーの試験勉強で忙しいのかなと思って。邪魔してはいけないから、そのままにしていた。」
 「言って下さいよ。電話してくれればよかったのに。」
 「いや、どうしてもケアマネジャーの試験の事が頭にあって電話出来ない。返事も来ないし、それどころじゃないのかと思って。他の30代の社員は全員講師をして貰って、その講師料を支払っているよ。」
 「どうして電話で言ってくれないですか。それに、今回のケアマネジャーの試験は全く駄目です。諦めています。全然進まないんです。もう諦めて、これから婚活に向かおうかと思って。もう三十ですから、そろそろ施設も辞めてと思ったりして。一度に何人も辞めるので、今月は週2回月8回の夜勤があるんです。もうくたくたで。早く手当をするように言っているんですが、理事長が駄目だしお金を使いたくないんです。職員もくたくたで、意欲が無くなるし。私ももう辞めると冗談で脅しているんです。」
 「あそこはなぜか人気が悪い。確か、職業訓練も一度行ったけれどもう行きたくないと、生徒の話があり、今回は実習から外してある筈だ。ここら辺では、大量に辞めるので有名だからな。幾ら補充しても、駄目だろう。何か問題があるんだな。」
 「息子の事務局長が駄目で、お金を出したがらない。だから、職員が辞めて行く。もう少し、キャリアアップしたら給与を上げるとかしないと。辞める人も突然だから大変なんです。」
 「それは、そのように仕向けている運営をしているんじゃないのか。困らせてやろうと考えるような運営をしているから、そのように職員からされるんだ。四六時中募集をしているからな。」
 「それでも、突然辞めたら一度は一緒に働いた同僚が困るし、それ以上に入所している利用者が困る。そんな事をするべきではないと思います。」
「そうかもしれないが、辞める人にとっては理事長や息子に知らしめる事を考えてしまうんじゃないか。」
 「そうですか。私はそのような辞め方をしたくない。私が辞めたら、大変な事になってしまう。持たないと思う。」
 いつも彼女はそう言う。
誰の後でも、誰かは継げる。自分に自信を持つのはいいが、自分の力を過信してはいけないと思うが、彼女の気持ちを傷つける訳に行かない。
 「辞めるんだったら、結婚すると言って辞めたい。早く結婚したいけれど、出会いが無いんです。」
 彼女は、和服も着る美人なのだが、本当に出会いが無いと何度も言う。以前から何度も聞いていた。私の息子、長男の嫁にという思いを何度か抱いていた。しかし、この地から大宮までは700キロくらい離れている。本当に結婚となったら、離れられるかだ。長男は、30歳頃までは付き合っていた彼女も何人か居たのに、今は全くその気持ちが無いのか家と会社の往復だ。
 何度も、
 「どうせケアマネジャーの資格を取得したからって、遣る訳ではないので取っても仕方がないとか、こんな夜勤で忙しいのに勉強する時間がないとか、思うようになりました。」
 「逃げるな、駄目だそんな逃げ口上じゃ。後1週間あるじゃないか。長時間しなくてもいい、集中してやれ。ぐっすり寝て、スッキリしたら10分でも20分でもしたら良い。本を全部覚えようとするから駄目なんだ。参考書なんて、薄いの1冊でいいんだ。」
 「何度も佐藤さんにそう言われていたんですが、どうしても沢山の本を買ってしまって。」
 「いいか、これからでもいいから集中して、問題だけでいいからこなせ。逃げちゃだめだ。」
 「来年でもいいかなって、思ったりしているんです。」
 「何をばかな事を言っているんだ。全力を尽くして駄目だったら来年もあるが、途中であきらめて勉強しない理由にするなら、来年も無いぞ。」
 マンションの廊下で1時間立ちっぱなしで話をした。
 NPO常勤理事の智子さんからは、ショックだったのかそれ以後連絡が無かった。彼女も、当家の嫁にと考えた事もあったが、余りに身近で頼りにしていたので、時期を失した。
 夜も、残った白子とたら鍋の汁で雑炊んを作って食べた。


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