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トップハート物語(3455)立志伝敢闘編
17/04/22
2010年(平成22年)10月中旬。
 医師が差し出す、多くの書類に署名をする事になったのだが、
 「認知症でパーキンソンである奥さまが署名できないなら、代理人としてお願いします。」
 そう言われて覚悟して、再度妻に確認した。
 「・・・、という事で、署名をしないと行けないので、○○子さんに代わって署名しますが、いいですか。」
 「いや、書けます。」
 と、突然正気になったかと思うくらい、はっきりとした返事をしたので、勝手に自分達が確認もせずに進めようとした事を医師も私も恥ずかしく思った。多くの書類にしっかりと書いた。
 しかし、段々と字が書けなくなり、再度私が代理人欄に署名して手術が始まった。
 一旦事務所に戻った。3時間後、手術が終わったと、妻に付き添っているヘルパーさんから連絡があったので、病院に向かった。
 病院に着くと、医師が
「説明をしたい。」
という。
手術が終わって、昏睡状態であった夫の傍で、妻が
「帰りたい。」
と言っていた。
寝てばかりいるなら、帰りたいと何度も車いすから立とうとする。私だけ、医師からの説明を聞いた。手術は成功だが、重篤の状態だったので予断を許さない。
 「ケアマネジャーさんに一任という事ですが、最悪の場合でも、深夜でも連絡は構いませんか。」
 「はい、携帯電話は24時間出られますので、そこに掛けて下さい。」
 「それでも、一応息子さんに連絡をして置きますので、連絡電話が分かれば、教えて下さい。」
 そう言われたので、携帯電話番号を教えた。
 今夜が、ヤマだという。
 「現段階では、救命をする事が主眼で、ヤマを越えても今度は1週間、1週間が過ぎても次は2週間と、小刻みに確認をしながら経過を見て、必要な手術をして行きます。」
 そういう事だった。
厳しい状態であるが、危機は脱したかのように思えた。ただ、脳血管障害なので、元には戻らないと言われた。
「リハビリ病院か施設かに行くことになると思います。」
という。
あれほど、奥さんから離れたくないと言っていた夫だが、どうなるのだろうか考えたが、それよりこれからの奥さんの対応をどうするかが難題となった。
独居で、認知症で、24時間見守りが必要な利用者をどうするか。直ぐに、地域包括支援センターに連絡して、相談をした。市に相談をしたようで、結果的には
「ショートステイを利用して行く行くは施設へ。」
というマニュアル通りの答えだった。
 指定されたショートステイ施設は、私どもが打診をしていた施設だった。今日の夜は、ヘルパー対応で行く事にして、指示をした。
明日から問題を、ヘルパーステーションを交えて検討した。最悪を想定して数日間の24時間体制計画を立てて、ショートステイを当たった。返事がない。今日はとりあえず、訪問介護で自費と介護保険との併用で行く事にした。
 夜になって、それも9時半を回って居た。息子から電話が来た。
 「親戚中から電話が掛かって来て、困っているんだけれどどうなっているんだ。暫くは伏せているのに、おたくが今家に居るのか。」
 「いや、どういう事でしょうか。私は自宅に居ます。24時間体制が必要なので、ヘルパーさんが一緒に泊まり込んでいます。」
 「親戚中に、ヘルパーさんが掛けまくっているようだけれど、止めさせてくれませんか。」
 「本当ですか、直ぐに電話を掛けて、止めさせます。」
 出しゃばりな、ヘルパーでいつも余計な事をして問題を引き起こすが、利用者が一番信頼しているので、仕方がない。直ぐに、連絡した。
 「クレームが来ているが、どうして親戚中に連絡しているんですか。」
 「いや、○○子さんが電話したんです。」
 「認知症があり、パーキンソンで電話出来る訳がないでしょう。」
 「いや、近所の人が来て連絡した方が良いんじゃないですかと言って、○○子さんが掛けてくれって。」
 「とにかく、勝手な事をするのは止めて下さい。息子さんが怒っているでしょう。伏せて、必要な時に連絡しようと思っていたのにって。」
 「あれから、大分うるさく騒いで、やっと今眠ったところです。大変でした。」
 このヘルパーは、厚顔で都合が悪くなると平気で返事もせずに話題を勝手に替えて、話すのを止め無くなり誤魔化す。
 「とにかく、止めて下さい。」
 そう、語気を強めて言った。
 非常に不快で、身勝手なヘルパーさんで、数々の問題を起こす。それでも、突然、泊まりでと言っても引き受けてくれるのは、今では彼女しか居ない。
 夫が治っても施設がせいぜい、妻は認知がひどくこれまた施設だ。二人が長い間暮らしてきた家は、誰も居なくなる。こうやって、家が一つ無くなる。
家族が、いつの間にか無くなる。長い間続いて来た、家という形が無くなる。
私の家もいつかは無くなる。

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