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トップハート物語(3441)立志伝敢闘編
17/04/15
2010年(平成22年)10月初旬。
退職を申し出ていた、泣き虫本ヤンキーの本社サービス提供責任者とお昼に話し合った。突然、数日前にメールで
 『二度も佐藤さんに拾って貰いましたが、11月で辞める事を考えています。お話ししたいので時間を取って下さい。』
 そんな内容が来た。
 実は、彼女がヤンキー時代に当社の2級ヘルパー研修を受講した。6年前だ。その時に、受講した同級生はほとんど全員が職に就いたが、彼女だけどこにも行けなかった。身だしなみがヤンキーそのもので、派手な服装と金髪で爪が長く色彩を施していたのでは、どこの業者も雇う訳がない。
そんな中、当社で彼女のような雰囲気に合う利用者が発生して、思い出した私は迎えに行った。その出で立ちだったが、何しろケアスタート時間ぎりぎりに彼女を思い出したので、そのまま車に乗せて利用者宅に連れて行った。
サンダル履きで、今考えれば恐ろしい事だった。しかし、男性利用者は快く受け入れてくれてケアがスタートした。スタートしたはいいが、包丁を両手で持ってギロチンのようにニンジンを切る様を見て、指導した当時の智子さんは唖然とした。
 それでも、彼女は、心をこの介護にと決めて翌日から長い爪を切り、髪を黒く染めて、地味だが綺麗な素顔を出して業務に精励した。感情が先に成って、相手を思うばかりに泣き出す事も度々だった。
相手の気持ちに立った事が、逆に受け取られて泣いていた事もあった。しかし、その向上心は留まる事を知らず、もっと身体介護を学びたいと身体障害者施設に移った。3年して再び当社に戻って来た。
そのまま、本社のサービス提供責任者となった彼女は、遅刻常習犯だったのに6時台のケアを引き受けるような成長ぶりを見せていた。しかし、その優しさの溢れる気持ちがプレッシャーとなって、今年の初めも吐いて薬を飲みながらの勤務だった。
 そして、今年の初めに彼女とコンビを組んでいた若いサービス提供責任者が金銭的な理由で退職。続いて、若い男性サービス提供責任者が新たな挑戦をしたいと退職。続く彼女が退職を申し出て来たのだ。
大東本社4人のサービス提供責任者のうち3人が今年退職してしまう現象に成って、大東本社に不信をもって一体理由は何なのかと投げ出したいくらいの思いだった。
 彼女にメールを貰った時には、既に決めているものと思い直ぐには会う必要が無いので、今日まで待って貰ったのだ。というのは、この日は、本社のある大東市での職業訓練講師をするので、昼に講師控室での面談となった。
彼女は、部屋に入って来た時には恥ずかしさを隠す為か笑顔だった。私に促されて座り、
 「一体どうしたんだ。」
 と、聞いた途端、泣きだした。
ハンカチで顔を覆って、涙を拭いて潤んだ瞳で私を見つめて、何も言わない。もう一度、
 「どうして泣いているんだ。」
 と、聞くと、意外にも
 「佐藤さんの顔を見て、何か分からないですが泣いてしまって。本当にすみません。」
 「そんな事はいい、辞めるのは分かったから理由を聞かせてくれないか。」
 「私にも分からないんです。あれが嫌とかこの人が嫌とか、そんな事は無いんです。自分でも分からないんです。」
 「分からないって。今年に入って、若いサービス提供責任者が3人も辞める。その理由が分からない。それを聞かせて欲しい。何かあるんだな。管理者と合わないという事か。」
 「そんな事ありません、管理者を尊敬しています。お子さんを抱えて、時間の許す限り一所懸命に頑張っています。他の人たちも、一生懸命になって支えています。合う合わないはどこの世界でもある事ですが、私の場合合わないという事はありません。嫌だとか、これ以上仕事をしたくないとか思った事もありません。ただ、何か辞めるという事を考えていたんです。もう、8月頃から管理者に話をしていました。」
 「管理者からは何も聞いていない。そうは言っても、辞めたいと思う何かあるだろう。」
 そう言うと、また泣きだした。
 「済みません、本当に自分でも分からないんです。ただ、ここに居てはみんなの迷惑になるとか、そんな気持ちになってしまって。」
 「そんな事ある訳ないだろう。やはり、合わないのか。異動したら大丈夫か。」
 「とんでもないです、私はここが嫌だという事は思っていません。仕事で嫌だと思った事はありません。毎日充実しています。しいて言えば、あの吐いたりした時には、どうしようもなく頭も痛くなり食べても下したり薬を飲み続けていました。今は大丈夫なんですが、その時を思うと他の女性社員は小さな子供さんが居て、朝6時台の仕事が続いて入って来たので、私しかいないと勝手に思ってしまってプレッシャーに成っていたような気がします。もっと入って来たら、自分しか居ないって。」

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