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トップハート物語(3274)立志伝敢闘編
17/01/19
2010年(平成22年)7月中旬。
 次は、冷めた目をして何をこいつそんな話をしているんだ、とつまらなそうに聞いていた奴がいた。私も、彼の面談だけは最初から構えた。若い、かなり若い20代だ。話を聞いて行くと、何と社会福祉主事を持っていて大学は社会福祉関係を卒業したという。
それだったら、私の話などバカバカしくて聞いていられないのは当然だ。それにしても、その経歴や資格を隠して受講生として入り込んだのには何か訳があるんだろうか。段々と、冷めた顔に表情が現われて来た。
経歴を隠しているが、どうやらITの専門学校に入り直して、その方面の仕事に着いたようだ。
 「一流の会社に入って、辞めたなんて勿体ない。」
 「今思えばそうです。」
 「エクセルとワードを使いこなすなんて、この業界ではほとんどいない。強い売りになるし、社会福祉主事があれば相談員になる資格があるしデイサービスなんて必要としているので、直ぐに重宝がられる。」
 「本当ですか、いくつか回って行ったんですが資格が無いって言われて。」
 「そうか、介護の資格が無いから使いにくいのかも知れない。それでも、この学校が終わったら資格が得られるので、大丈夫だ。」
 「本当ですか。」
 表情が緩んだ。
彼を、当社に欲しいと本気で思う。それでも、まだ口に出して言う訳に行かない。
 『子供が好きだ』と言って、障害児の施設で働きたいと既に決めている男性。私も外見には自信が無いが、彼の場合は病気だ。どうやって就職に結びつけるのか。彼を面談していて、その性格の良さをどうにかしたいと思った。
丁度住んでいる地区が、当社の強みのある地区で障害者関係には強いので、問い合わせをする事にした。彼は、体験学習を通じてまだこの学校に入る前にボランティアで色んな施設に行ったようだ。
「資格が無いから。」
と言われて断られ資格を取りに来たようだ。
まだ、始まって1ヶ月半、まだ4カ月以上もある。未知が定まっていないのは、当然だ。
 自分の経歴を並べて、この世界に入ろうと何度もボランティアに行っている者もいる。しかし、その性格からどうしようもないのではないかと思われる暴言を吐く者もいる。
1日だけの体験で、
「あそこの施設は良い。」
とか
「ここの施設は問題なので、どう言われても頼まれても行かない。来てくれと言われたところもあったが、『お前のところに土下座しても行かないとはっきり言ってやった』。」
 などと武勇伝を言う者もいる。
 こんな質問もあり、そのやり取りで唖然とした。
 「面接でどんな事を聞かれるんでしょうか。心配なんです。」
 「施設を希望されているが、例えばどうして施設を希望しているんですか、と聞かれたらどう答えますか。」
 「ただ単に、移動したくないんです。」
 言葉に詰まった。
 「動きたくないという理由は、適切じゃないね。仕事をしたくないと思われる。もっと、合理的な理由じゃないと。」
 これほどまでに、面接の練習をしないと行けないまでに落ちているのか、と呆れ果てた。自分の考えを述べるのに練習がいると思っていなかった。
 直ぐに、専任講師に履歴書の書き方と面接指導をするように指示をした。私は、そんなこと必要が無いと思っていた。それが、やはり程度が昔とはだいぶ異なっているのだ。
 やはり困ったのは、年齢が高くて職人を長く続けていた方だ。勿論資格など何もない。何でもしたいと言うが、
 「何にも分からず、授業も言葉もちんぷんかんぷんで全くついて行けない。本当にこのままここに来て、就職出来るんでしょうか。」
 そこまで聞かれると全く返事が出来ない。
それでも、出来ないでは済まされない。
 「常勤とか正社員とかでは難しいと思いますが、仕事はあると思います。まず、心配が先に立つと思いますが技術を覚える事に専念して頂けますか。」
 そう言って、本当は大事な懸念をないがしろにしてしまった場面もあった。
 雨が一日中降り続く。帰りを急ぐ、追い越しざまに生徒がみんな
 「お疲れ様です。」
 とか、
 「佐藤先生お先に失礼します。」
 と、言って声を掛けて帰る。
 ほんの短い交流だが、何とかしてあげたいと思うクラスになって来た。

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