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トップハート物語(3267)立志伝敢闘編
17/01/14
2010年(平成22年)7月中旬。
このまま帰ったら、一体彼女の気持ちはどうなるのだろうと、気になってなかなか帰ると言い出せない。
 「車いすに座っているのが、辛いだろうからベットに座りなさい。」
 そう言って、社員に移乗をさせた。
 暫く、ベットに座っていたのだが、暗い話が続く。同じような事を何度も言って、デイの職員が手紙を出しても返事をくれない辛い。そんな事を何度も繰り返す。
 「人に会うのが怖いんです。」
 それも何度も繰り返す。
 私に対しても、何度も何度も
 「本当にごめんなさい。済みません。」
 と、何度も言う。
 強い彼女にしては、こんな弱い言葉を連発するのは初めてだ。
 「デイに行かなくても済むでしょうか。何とかして下さい。」
 頬がこけた彼女の顔を見ているのも辛い。
 「睡眠薬を7錠も飲んでいるんですが、眠れないんです。」
 「何でそんなに飲むの、飲みすぎじゃないの。」
 そう言っても、医師が出すのだから私は何にも言えない。
 時間の制約があって、外出も思うように貰えない。一体どうしたらいいのか。支援の管理者に私が口を出しても良いのだろうかと思うようになった。
その人の生活をちゃんと管理して支援事業所なり市役所なり適切に対応出来る筈の立場の人間が、単に市役所や支援事業所の指示し従うだけでは、担当者としては、少し緩慢だ。このように、荒んでいて閉じ籠りで精神に問題が生じて来ている利用者に、このまま毎日生活支援や身体的な支援をするだけで良いのだろうか。精神的な支えが必要だと思うので、近々そのような問題提起をしようと思う。
 外に出て、私とNPO常勤理事智子さんは近所にある美味しい中国飯店「麒麟閣」に向かった。この地方で、唯一あの中国料理のフルコース満漢全席を作れるオーナーがやっている店だ。
そのオーナーが、高級ホテルの中国料理総料理長で年に1回、その満漢全席を主催するのだが、50万円だ。そのコースを食した方の名簿が張り出されている店だ。すべての料理がおいしくて、声も出ない。
今月は、私の誕生月なので、既に何回かお祝いが催されている。ただし、私の資金で。今日で、3回目だ。メインは勿論、24日の本当の私の誕生日で、夜に美味しい魚の店で宴会だ。30人を超える人間が集まる。それが終わると、ホテルのカラオケルームで2次会だ。
 今日は、いつも頼まない料理を頼んだ。海鮮たっぷりの野菜サラダ。イカやクラゲ、エビなどがふんだんに使用されている1300円。レタスと芝エビのチャ-ハン890円。プリプリのエビがまたおいしい。海鮮の炒め物は、大きな芝エビや大ぶりのホタテ、アワビがアスパラと炒めてあって本当においしい1300円。焼き餃子800円。美味しい中国の本格的な杏仁豆腐600円。など、二人で食べたのだが、沢山でおなかがいっぱいになると思っていたのに、全く一杯にならない。美味しいものはそんなものか。
 そんな席でも、話題は今辞して来た彼女の変わり果てた姿。
 「どうしてあんなに頬がこけてしまったんだろう。」
 「体調が悪いと聞いていたけれど、おなかが痛いって、神経性かも知れない。」
 「あんなに、『済みません、済みません』って、謝っているばかりで。一体どうしたんでしょう。」
 「分からないけど、激しい性格だから施設で何かトラブルがあっただろうか。それにしても、デイの職員は女性で介護福祉士を持っていると言っているが、何で嫌いだなんて言うんだろう。」
 「あそこの職員は評判が悪いから。」
 「そんなこと言ったら、誰が聞いているか分からないから外では言わないように。」
 そんな事を話していた。
 私のプレゼントは、いつも欲しいというおむつだった。それを届けるように業者に言っていたのだが、
「届いていない。」
と言われた。
いつもその日に間に合うようにしていたのだが、どうしたのか電話をしたが担当者が出ない。着信があり、担当者からだったが出なかった。メールであった。
 『今日だったですか。済みません、指示待ちをしていました。』
 そんな事は無い。これまで、指示をしなくても届いていた。
 悪い事が重なってしまって。
 そういえば、嫌いになったとか何度も電話で言われるが、彼女にとってはそれが一番辛いのだろう。
 この日来てくれとある社員に頼んだが、曖昧で返事のない者がいた。その者は、結局今日終わるまで何の連絡もない。それぞれの理由があるのだろうが、その理由を超えて対応するのがこの仕事に就いていている者の姿勢ではないのか。


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