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トップハート物語(3197)立志伝敢闘編
16/11/29
2010年(平成22年)6月中旬。
制服の他に、普段着も社員に支給しようとした。学生時代からお世話になった鈴木先輩に、幾らかでも恩返しが出来ればと思っていた。ファッション関係の会社を運営しているので、6掛けで1着5,000円程度の服を依頼した。
メールで銀座三越に収めているものという謳い文句で、感謝の言葉もあったので本当に良かったと思った。その商品が事務所に来るというので、待っていると朝一番で来た。早速、大きな段ボールを開ける。どんな洋服かと思って、女子社員と一緒に覗いた。
何かおかしいと、沢山の商品を探ったが同じものばかりだった。つまり、思いや考えと全く異なる商品だった。一瞥して、年寄り向きの、それも田舎のおばあさん連中、よくて田舎のあくまでも田舎のおばちゃん連中が着ているモノのようだった。
中には、スパンコールやラメの、それもシルバーやゴールドなのだが、それこそ田舎のおばちゃんの服だ。
 添えてある、納品書を見た。先輩が翌日来るので荷物だけ送ったという。その荷物に添えてある、伝票を見た。「特価品」という文字が目に入った。その伝票をそっと社員に見られないように隠した。あれほど、
 「三越に収めている商品で・・・・」 
 などとみんなに宣伝していたのだ。
 それが、こんな物になっている。直ぐに、先輩に連絡した。
 「なにあれ、余りにひどいじゃないですか。こんな年寄り向きの、それも田舎のおばさん連中が着るような物を送って、何が三越の製品だって。俺の立場もないじゃない。」
 声にならないような、声で笑って居る。
言葉もよく聞こえない。やっと収まったのか、
 「いや、いつもそんな事するおっさんで、またやったか。埼玉の会社に頼んだけれど、20代、30代と言ったのにそんなの送ったのか。」
 「そんなのじゃないですよ、ちゃんと先輩確認したんですか。」
 「いや、頼んでしまって。直ぐに電話する。他の物を送るから。」
 「これじゃ、誰も買いませんよ。折角、紹介して買いつけようと思ったのに。」
 「悪い、悪い。」
 と、言いながら再び声にならない声で、笑って居た。
 2時間後、銀行に行った時に一人になった。
誰にも聞かれないので、再び連絡した。
 「誰も周りに居ないので、言いたい事を言わせて貰います。あの一緒にあった伝票の「特価品」て何ですか。そんなモノ送りつけて。在庫品じゃないですか。折角長い付き合いをしようと思ったのに、これじゃ目先の利益しか考えない商売じゃないですか。いくら自分が、東北地方を回っているからと言ってそんな商品で商売するなんて、考えられない。」
 「申し訳ない、今日俺の手元にある商品を送るから。」
 「参ったな、こんなことでは。制服も揃わないし、折角先輩に取引を替えようと思ったのに。」
 「明日の夜、制服を収める業者が来ると言って居るから。」
 「そんな出鱈目な会社の奴とは会う必要が無いので、私は会いません。どうせ、今度だけですから。先輩が会えば良いし。俺の言う事を聞いて下さい。やはり、人との繋がりは信頼です。幾ら、苦しいからと言ってこんな在庫品の安物を送り付けられたら、信用を失いますよ。納期は守らない、受注して居ながら対応が出鱈目。一度だけの取引になりますよ。」
 それ以上、厳しい事を言ったが、納入業者が悪いような事をとうとうと述べていた。
人が変わったような、あの時の先輩じゃないような感じがした。この件に関しても、夕方、「今日荷物が着くのか、明日着くのか。」
と何度も問い合わせたが、
 「明日中に着くので。」
 との返事だった。
 その返事に合わせて、百貨店の食品売り場の火曜市に出掛けた。その間、社員からメールで、先輩が送った商品が着いているとの連絡が有った。一体どうなっているのか、あれほどあこがれていた先輩の商売に対する感覚に、幻滅した。
16日から3日間滞在して18日夜に一緒に帰る予定だった。
 その夜に、話が違うじゃないですかと連絡しようと思ったが、やめた。それでも、昼間連絡した時には
 「俺の立場が無いじゃないですか。社員に、先輩の自慢をしていたのに、こんなことして。」
 と、言っても意に介しないような言動だった。

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